1995 Fiscal Year Annual Research Report
高木類の生育更新・樹形特性から見た森林景観の基本構造の把握
Project/Area Number |
07660190
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
藤本 征司 静岡大学, 農学部・附属演習林, 助教授 (00113621)
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Keywords | 樹形 / 枝条形成 / 森林景観 / 生育パターン |
Research Abstract |
沿下型樹種と突出型樹種の相違を明らかにすることを目的として、枝条(葉と節間)の形成過程の肉眼レベルでの測定を、静岡大学上阿多古演習林内の広葉樹見本林内と同大静岡キャンパス内に生育する暖温帯・温帯系樹種に対して試みた。調査した樹種は48種、枝条数は180である。その結果、沿下型樹種では、有機的統合度合いが高い、完成度の高い一斉開葉型の枝条形成パタンを示すのに対して、突出型樹種では、順次開葉型を示すか、一斉開葉型であっても、順次型に類似した、求頂的に形態形成が進行する傾向がある程度まで残存する、枝条の有機的統合度合いの低い、未完成な一斉開葉型の枝条形成パタンを示すものが多いことなどがわかった。実体顕・光顕レベルでの解析については、上阿多古演習林で30種約150枝条(当年生)、東大理学部附属植物園で18種90枝条を対象として、その葉長と節間長を測定し、その頂芽を採取・固定した、頂芽の観察はまだ始めたばかりで、このレベルでの成果は得られなかった。樹形調査については、上阿多古演習林の6種34個体について、分枝パタンや当年生枝条や節間の伸長量分布などを調べた。また、北大植物園と北大苫小牧演習林で、冷温帯・亜寒帯系樹木の分岐調査も行った。その結果、ブナの樹形が、どちらかというと突出型であること、一般に当年生枝条の伸長量は沿下型樹種では対数値で一山型、突出型では2山型の分布を示すが、突出型の大きいモードの値が沿下型のモードの値よりもはるかに大きいことなどがわかった。群落レベルでの研究については、静大上阿多古演習林で2箇所(0.045ha,0.1ha)、引佐演習林で3箇所のプロットを新設し、調査したほか、広葉樹見本林全体(0.42ha)の毎木調査も実施した。その結果、当初ねらっていた、提案した類型区分が暖温帯域でも当てはまる可能性が大きいことなどがわかった。静大中川根演習林高海抜域と焼岳・上高地での調査は実施できなかった。
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[Publications] 藤本征司: "高木類のフェノロジーと枝条形成パターン" 日本林学会論文集. (予定).
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[Publications] 藤本征司: "高木類の展葉過程について" 日本林学会論文集. (予定).
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[Publications] 若木 哲: "マツ人工林景観の推移" 日本林学会論文集. (予定).