1995 Fiscal Year Annual Research Report
森林環境の変化が林地の保水および土砂扞止機能に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
07660198
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
日浦 啓全 高知大学, 農学部, 助教授 (30046495)
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Keywords | 森林の水源かん養機能 / 森林の土砂扞止機能 / 水質 / 侵食 |
Research Abstract |
森林のもつ水源函養機能と土砂扞止機能を定量化するために、前者については、高知県高岡郡により設置された量水施設をもちいた観測施設での観測を開始した。研究期間中に何らかの人為が森林に加えられれば、そのことによる流出への影響が直ちに出て来る。観測項目は平成7年度については、10分ごとの水位と降雨の観測を平成7年3月31日から始めている。10月下旬から11月上旬に掛けての約1カ月の間、太陽電池の継続不良による欠測期間があった。また、平成8年度からは定期的と豪雨時に試験流域からの流出土砂の採取をおこない同時に水質の変化についても検討を加えていくが、準備的作業として、10月以降1カ月に1回の水質試験用の採水を行っている。後者は2つの典型的な土砂移動現象を対象とした試験地である。ひとつは平成5年4月の山火事跡地に発生したガリ-であり、もうひとつは鬱閉して林内が暗くなったため下層植生の消えたしまっタヒノキ林である。これらはいずれも地表が裸地化しており、降雨や落石等により表土の攪乱・移動の始まっている場所である。研究期間内に林地にどれだけの大きな擾乱が加わるかについては予測の域を出ないが、少なくとも集中豪雨あるいは台風による大雨に数回以上は見舞われると考えられるので、一定の定量的な成果を挙げることが可能であると思われる。このうち前者については3カ月に1回のガリ-地形の縦横断測量を実施した。平成7年度も6年度に続いて渇水年であったこともあり、顕著な地形の片状は見られない。もうひとつの鬱閉したばかりのヒノキ林での表面土壌の移動の精密計測については、斜面上方に傾斜の変換点があり、この付近で土砂の生産が著しいことが現地の踏査の結果明らかであるが、ここではごく弱い雨であっても土砂移動が観測されている。さらに、風による不安定土砂の下方への移動も見られる。簡単な構造の編柵や杭打ちで表土層の動きが止まれば、植生の侵入が図れる。この点についても、平成8年度には種々の試みを行う。
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