1996 Fiscal Year Annual Research Report
樹木フェノール性抽出成分の抗酸化能とその機能の高度利用に関する化学的研究
Project/Area Number |
07660212
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大橋 英雄 岐阜大学, 農学部, 教授 (80021723)
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Keywords | 樹木 / 抽出成分 / フェノール性成分 / 抗酸化能 / フラボノイド / クエルセチン / ストップドフロー法 / 抗酸化反応機構 |
Research Abstract |
樹木資源が保有する多彩な抽出成分の生理活性を高度有効利用することがが注目されている。報告者はこの立場で、樹木のフェノール性抽出成分の抗酸化活性の研究を行っている。これまでに、80余の成分を試験に供して抗酸化活性の強弱を比較、評価し、さらに、化学構造と活性発現の関係についても考察した。本研究では、上記検討で高い評価を得たフラボノイドについて、厳密な抗酸化活性の比較とその化活性発現の反応機構の解明を主に行った。 まず、A及びB環の同じ位置に複数の水酸基を持つフラボノイドの抗酸化能の強弱関係を示すことは従来の測定法では困難であるので、これらを1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒラジカルと反応させ、その過程をストップドフロー法で追跡して明らかにすることにした。その結果、若干の問題はまだ残っているが、強い抗酸化活性をもつエリオジクチオール、クエルセチン、タキシホリン等の強弱関係をラジカル捕捉定数で具体的に示すことに成功した。 次に、クエルセチンを検討化合物とし、まだ説明できていない芳香族化合物の抗酸化反応機構の解明をめざした。クエルセチンやその配糖体、ルチンを原料としてクエルセチンのメチル誘導体を調製した。そして、これらのラジカル捕捉定数を求め、活性の有無や強弱関係を具体的に比べた。 抗酸化反応機構解明の検討では、始めに、クエルセチンの炭素3位における水酸基から始まる反応の解明を行った。反応基質に3-ヒドキシフラボン、3-メトキシフラボンを用い、2、2'-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)と反応させ、生成物を単離し、各々の構造を決定した。また、これら生成物の経時的な消長についても調べた。 以上から、(クエルセチンの炭素3位の水酸基から始まる抗酸化反応の初期経路を提案した。
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