1995 Fiscal Year Annual Research Report
縮合型タンニンの塩基性条件下での化学変性に関する研究
Project/Area Number |
07660218
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
阿部 勲 三重大学, 生物資源学部, 教授 (20024581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光永 徹 三重大学, 生物資源学部, 助手 (20219679)
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Keywords | 縮合型タンニン / フラバノールオリゴマーの合成 / 樹皮タンニンの分析 / バニリン-塩酸法 / 燐モリブデン酸法 / 核交換法 / メチル化-核交換法 / 樹皮タンニンのアルカリ変性 |
Research Abstract |
縮合型タンニンの高度利用化を推進するためには、(イ)タンニン質純度の不明確性、(ロ)タンニン構造の複雑性、(ハ)高分子量成分の存在、(ニ)リジッドな立体構造および(ホ)構成核の不均質な反応性、などの諸問題を解決する必要がある。 本研究は、タンニン質の塩基性条件での変性挙動と変性物の求核性を解明して、樹皮タンニンを反応性の均質な多価フェノールオリゴマーに変換するための基礎資料を得ることを目的としている。本年度の検討結果は以下の通りである。 1.縮合型タンニン試料の調製と構造解析 重合度および水酸基パターンの異なる縮合型タンニン試料を数種の樹皮から調製し、またタキシフォリン・フスチンから3,4-ジオール体を合成し、さらにカテキンを末端単位とたシアニジン型・フィセチニジン型タンニンオリゴマーを調製した。また、核交換法・メチル化核交換法と従来法の組合せによって解析することによって、その水散基パターンおよび複素環開環度などのフェノール特性を明確に推定しうることを明かにした。 2.縮合型タンニンのアルカリ変性挙動(I) 1.で調製した樹皮タンニンに対して1.25モル/100g試料以下のNaOH添加条件での変性挙動を追求した。その結果、単量体モデルによる既往の報告とは異なり、天然タンニンはアルカリ常温処理でもB-環の破壊を伴うこと、またアルカリ変性挙動は試料タンニンの水酸基パターンや重合度によって相違すること、などが明かとなった。さらに、同一試料から調製した変性物の場合、バニリン-塩酸法および燐モリブデン酸法による測定値と、核交換法によって定量したA-環およびB-環存在量との間には密接な関係のあることを見出した。
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