1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07660220
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
則元 京 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (20027163)
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Keywords | フーリエ変換画像処理 / 木材 / 収縮変形 / 横圧縮変形 / レプリカ / 圧縮あて材 |
Research Abstract |
最近、フーリエ変換画像処理法によって、細胞の形態を統計的に解析する研究が成果を上げている。本研究は、この手法を応用することによって、木材の収縮と横方向の圧縮大変形における細胞の形態の寄与を定量的に解析することを目的とする。本年度に得られた結果を要約すると,次の通りである。5種類の針葉樹の正常材とあて材試料の木口面の同一部位のレプリカを飽水状態と全乾状態において作製し、顕微鏡観察した結果、年輪の不明確なアガチスやイゲム材においても接線方向の全収縮率が放射方法のそれより大きく、異方性が早晩材の配列様式によって生じるのではなく、細胞自体の収縮に異方性があること、収縮によって、正常材では細胞内こうの収縮が起こり、あて材では拡大が起こること、正常材に比べ、あて材の放射、接線方向の収縮率は小さく、繊維方向のそれは大きくなることなどが明らかになった。レプリカをフーリエ変換し、収縮によって生じる最も確率の高い細胞の変形を求めた結果、細胞の変形から求めた収縮率は、ほぼ巨視的な収縮率と一致したこと、早材細胞の収縮異方性は、放射壁のなす角度の変化によって生じること、細胞の形状が6角形(ヒノキ、ラジア-タパイン)から4角形(シトカスプル-ス)に近い形状になるにしたがって、放射壁のなす角度が大きくなり、異方性が小さくなること、晩材の収縮による早材の収縮の拘束は小さいようであることなど明らかになっている。一方、圧縮大変形については、圧縮過程の所定のひずみ段階で、試料木口面における細胞の変形を写真撮影し、樹種による細胞変形の特徴をおおまかに把握し、現在レプリカを取り、詳しい変形の解析に着手する準備を行っている段階である。
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