1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07660220
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
則元 京 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (20027163)
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Keywords | フーリエ変換画像処理 / パワースペクトル / レプリカ法 / 細胞モデル / 収縮変形 / 収縮異方性 / 木材 / 圧縮あて材 |
Research Abstract |
飽水状態から全乾状態への乾燥に伴う収縮により生じる木材の横断面における大変形の様子を細胞レベルで調べるため、2次元フーリエ変換画像処理による解析を行った。ラジア-タパイン材の木口面の同一部位のレプリカを熱軟化させたポリエチレンフィルムを用いて、飽水状態から全乾状態に至る乾燥の前後で作成し、その顕微鏡写真についてフーリエ変換画像解析を行い、最も確率の高い早材および晩材仮道管の細胞モデルを構築した。モデルの寸法形状の変化から、乾燥前後における早材および晩材仮道管の収縮率を求めた。早材の放射方向および接線方向の収縮率は、2.52%および5.46%、晩材のそれらは、7.23%および8.01%であった。晩材では、放射方向に比べ接線方向の収縮率は大きいが、その差はわずかで、異方性がほとんど認められなかった。一方、早材では、接線方向の値は、放射方向の2倍以上で、大きな異方性が認められたが、これは、主として細胞形状の変化によって生じることが明らかとなった。また、木材を、早材と晩材より構成される層状モデルで近似し、それを用いて、放射方向と接線方向の収縮率を表現する式を求めた。モデルを用いて計算した値と実測値を比較検討した結果、木材の収縮挙動は、大略このモデルによって表現できること、異方性におよぼす力学的な拘束の影響は大きいことなどが明らかとなった。また、収縮率の異方性と晩材率の関係を明らかにした。これらの手法は、木材の繊維に直角方向における弾性率、誘電率などの物性値の解析にも有効と考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 渡辺宇外: "Shrinkage and Elasticity of Normal and Compression Wood in Conifers" 木材学会誌. 42巻. 651-658 (1996)
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[Publications] 渡辺宇外: "Transverse Shrinkage of Coniferous Wood Cells Examined Using Replica Method and Power Spectrum Analysis" Holzforschung. (発表予定).
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[Publications] 渡辺宇外: "Analysis of the Shrinkage Deformation of Wood Cells Using the Replica and Fast Fourier Transform Methods." New Zealand FRI Ltd., 363-365 (1996)