1996 Fiscal Year Annual Research Report
海産二枚貝におけるエストロゲンの生合成と産卵における生理機能に関する研究
Project/Area Number |
07660231
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
尾定 誠 東北大学, 農学部, 助手 (30177208)
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Keywords | ホタテガイ / マガキ / セトロニン受容体 / エストロゲン / 卵形成 / 産卵 / 卵核胞崩壊 |
Research Abstract |
平成8年度は卵膜セロトニン受容体に対するエストロゲンの機能解明を中心に検討した。 1.卵膜でのセロトニン(5-HT)結合能と受容体サブタイプの特定 ホタテガイ,マガキ卵膜への5-HT特異結合を[^3H]5-HT結合実験により求めスキャッチャード分析した結果、ホタテガイでは結合定数(Kd)2.64μM,最大結合結合容量(Bmax)152pmol/mg蛋白,マガキではKd値2.01mM,Bmax値529pmol/mg蛋白であった。また,各々の特異結合に対する種々の拮抗薬の影響を検討した結果,ホタテガイの5-HT受容体サブタイプは5-HT_1/5-HT_2の両方の特性を持ち,マガキは比較的5-HT_1の特性を持ち多少異なっていた。ただし,両方とも共通して5-HT_<1A>としての機能は認められなかった。 2.ホタテガイ卵膜5-HT受容体の動態 5-HTの産卵誘発作用に対するエストラジオールによる促進効果は明らかに蛋白質誘導に基づくことが明らかになり,マガキ卵に対する5-HTによる卵核胞崩壊誘起も同様の機構でエストラジオールによって促進されたことから,卵表面への5-HT受容体蛋白の誘導が推測された。予想通り,エストラジオール処理した卵への5-HT結合能の上昇が認められ,この上昇は卵形成にともなって起こっている現象であることも明らかになった。 以上の結果から,生殖細管周辺の細胞で合成されたエストラジオールが,卵形成過程で予想される卵黄形成とならんで,来るべき産卵刺激に対応する意味で,卵膜表面への5-HT受容体の形成にも深く関与し,成熟から産卵まで広く関わっていることが明らかになった。今後,卵黄形成の機構を明らかにし,卵形成の詳細について分析する予定である。
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