1995 Fiscal Year Annual Research Report
トラフグ天然魚の成熟・産卵生態並びに飼育魚による成熟機構の解明
Project/Area Number |
07660247
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松浦 修平 九州大学, 農学部, 教授 (80038215)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 倫也 九州大学, 農学部, 助教授 (00183955)
|
Keywords | トラフグ / Takifugu rubripes / 成熟 / 産卵 / 養成親魚 / 種苗生産 / 卵成熟誘起ホルモン / 生殖腺刺激ホルモン |
Research Abstract |
(1) 東シナ海・黄海〜日本沿岸産卵場間のトラフグの回遊の道筋に沿って時期別に採集した標本に基づき、雌雄の生殖細胞の組織学的成熟度を調べ、そのサイズなどの形態変化とGSIとの関係をほぼ明らかにし、成熟度が進むに従い魚は沖合から沿岸に移動してくることを明らかにした。(2) 本種の卵径組成は1峰型で1回産卵型であるので、発達した卵群に所属する卵数を重量法により数え、それらの結果を年齢群別にくくり、年齢別有効産卵数算定の基礎資料を得た。(3) トラフグの安定した種苗生産を図るために、LHRH-aを除放的に長期間放出し、卵の成長、成熟を促進するLHRH-aコレステロールペレットを用いた養魚親魚からの採卵法を確立する目的で、卵径800μm以上の卵を持つ魚に投与した。結果的には、LHRH-aコレステロールペレット投与後ある一定期間をおいてHCG・SP投与を行う方法で確率よく受精卵を得ることができた。(4) トラフグ卵成熟誘起ホルモンを明らかにするために成熟・排卵に伴うトラフグ卵濾胞組織のステロイド産生能の変化を調べた結果、本種では卵成熟期に、血中の17a, 20b, 21-トリヒドロキシ-4-プレグネン-3-オン(20b-S)量の急激な上昇がみられた。前駆体培養実験とTLCによる解析から、成熟期の卵濾胞において、17a-ヒドロキシプロゲステロン(17a-P)から11-デオキシコーチゾル(S)を経て、大量の20b-Sが合成されていることが明らかとなった。さらに、20b-Sはin vitroにおいて卵成熟誘起活性を示した。また、(5) 精小嚢内精子は5b-リダクターゼ活性を有し、17a-Pを5b-プレグナン-17a-P(5b, 17a-P)に代謝しており、硬骨魚の精子で初めて5b-リダクターゼの存在が確認された。
|