1996 Fiscal Year Annual Research Report
トラフグ天然魚の成熟・産卵生態並びに飼育魚による成熟機構の解明
Project/Area Number |
07660247
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松浦 修平 九州大学, 農学部, 教授 (80038215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 倫也 九州大学, 農学部, 助教授 (00183955)
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Keywords | トラフグ / Takifugu rubripes / LHRH-a / 成熟促進 / 養成親魚 / HCG / 種苗生産 / 生殖腺刺激ホルモン |
Research Abstract |
【目的】トラフグの卵成熟誘起ホルモン(MIH)を同定した。【方法】卵巣成熟度の異なる雌親魚から得た卵巣組織200mgに、[^<14>C]-17α-ヒドロキシプロゲステロン(17α-P、10^5cpm)を前駆体として加え16℃で2時間培養し、卵濾胞組織で合成されたステロイドをTLCで分離し、再結晶法で各代謝産物を同定した。それらの中で、卵成熟期に合成量が増大する17α,20β-ジヒドロキシ-4-プレグネン-3-オン(17,20β-P)、11-デオキシコーチゾル(S)、および17α,20β,21-トリヒドロキシ-4-プレグネン-3-オン(20β-S)のin vitroにおける卵成熟誘起活性を比較した。また、各発達段階にある卵巣組織30mgを非標識の17α-P、S、あるいは17,20β-P100ng/mlとともに培養し、培養液中の各種ステロイドの濃度をELISAにより測定し、卵成熟に伴う各ステロイド代謝酵素の活性比較を行った。さらに卵黄形成直後の雌に20β-S(2mg/kg)を注射し成熟するか否かを調べた。【結果】卵成熟時に合成されるステロイドホルモンのin vitro における卵成熟誘起活性を調べた結果、20β-S(10ng/ml)は培養開始後36時間で40%、48時間で83%の卵を成熟させた。17,20β-P(10ng/ml)は培養開始後36時間で3%、48時間で10%の卵の成熟を誘起し、Sには卵成熟誘起活性は認められなかった。TLCおよび非標識の前駆体代謝実験より、トラフグの卵濾胞組織では21-ヒドロキシラーゼ活性が常に強く、卵黄形成期は17α-Pを大量のSに転換し、卵黄形成後20β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(20β-HSD)の活性が急激に増大し、Sを20β-Sに転換させていた。20β-Sの親魚への直接投与による成熟実験の結果、20β-Sを投与した5尾中4尾が成熟、排卵した。一方対照区5尾はすべて成熟しなかった。以上の結果より、トラフグの真のMIHは20β-Sで、主としてS経 路で20β-HSDにより合成されることが明らかとなった。
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[Publications] 松山倫也: "各種ホルモン投与法により誘起された養成トラフグの成熟,排卵過程" 水産増殖. 45・1. 1-7 (1997)
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[Publications] 中田 久: "トラフグ養成親魚からの採卵技法の開発" 日本水産学会誌. (印刷中). (1997)
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[Publications] 松浦 修平: "トラフグの生物学的特性,トラフグの漁業と資源管理(多部田修編)" 恒星社厚生閣,東京, 1-12 (1997)