1995 Fiscal Year Annual Research Report
有明海と流入河川の希少魚類、エツおよびシラウオ類の生態に関する研究
Project/Area Number |
07660248
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松井 誠一 九州大学, 農学部, 助教授 (60038297)
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Keywords | アリアケヒメシラウオ / アリアケシラウオ / 産卵場 / 底質 / 人工受精 / 成長 / 耳石日周輪 |
Research Abstract |
有明海特産のアリアケシラウオとアリアケヒメシラウオの産卵場は河口域という以外不明であった。平成7年5月に筑後川の河口部から感潮域の上限域である23km上流の筑後大堰において船上から水中ポンプから延ばしたホ-スの先端を水底に降ろし、船上の網に底泥を採り、よく洗浄して採卵した。その中からアリアケヒメシラウオの卵を顕鏡下で査定した結果、48個の本種の卵と1尾の孵化直後仔魚が採集され、その出現域は河口から7km-23kmで、塩分は全域0であった。また、同時に調査した底質とは関連が認められ、卵が出現した場所の粒度組成は直径0.5mm以上の粗砂から礫分が50%以上を占め、灼熱減量は3%以下であったが、出現しない所はシルト分が多く、灼熱減量は3%以上であった。アリアケシラウオについても同様な採集調査を筑後川で平成7年10月に行い、34個の卵を採集し、その出現域は河口から1km-20km、塩分は0-10であった。底質とは前者と同様の関係が認められた。なお前者は熊本県の緑川でも棲息することがあったが、今回の調査では筑後川の感潮域のみから全ての発育段階が採集された。後者は有明海奥部、諫早湾に棲息し、産卵は筑後川と緑川の感潮域で行うものと考えられる。アリアケヒメシラウオについては筑後川で3-6月に人工受精し、卵内発生過程を記録した。飼育して耳石の輪紋が日輪を表すことが判明し、成長を検討した。その結果、孵化時間は水温15℃で266時間であり、全長(Ymm)と孵化後日数(X)との間にはY=0.19X+4.62の関係があり、耳石の輪紋数は一日1本形成され、孵化後日数+1であった。
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