1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07660253
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Research Institution | Miyazaki University |
Principal Investigator |
延東 真 宮崎大学, 農学部, 助教授 (80128355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 照豊 宮崎大学, 農学部, 助教授 (20240294)
飯田 貴次 宮崎大学, 農学部, 助教授 (70159557)
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Keywords | 水質 / 魚類 / 好中球 / アンモニア / 鰾 / 炎症 |
Research Abstract |
鰾を用いた好中球の分離法として、まず25℃に順化したティラピア(体重約100g)を使い、その鰾内に大腸菌死菌(5mg/ml)を0.2ml注射して、24時間後に鰾を取り出した。鰾内に浸出している細胞を抜き取り、その細胞数と種類を調べ多ところ、少なくとも12×10^6個/ml採集され、その97%以上が好中球であった。この方法は従来の比重遠心法などと比べて、格段に好中球数が多く、高純度、簡易な操作という点でも優れた方法である。コイ、ブリ、マダイ、シ-バスなどの他の魚種でも応用できた。 上記のようにして得たティラピア好中球-ハンクス液中にアンモニアを0、1、2ppm(NH_4^+として。NH_3としては0、0.011、0.023ppm)添加し、好中球の貧食能を検討したところ、アンモニア濃度に比例して貧食能が低下していた。次いでティラピアを0、1、2ppm(NH_4^+として。NH_3としては0、0.003、0.006ppm)に設定したアンモニア水中(水温25℃、pH7.2、溶存酸素6ppm以上)に7日間飼育した。0、1、3、7日目に上記の方法で好中球を分離して貧食能、化学発光能を調べたところ、アンモニア濃度や飼育日数との間に有為な関係がなかった。この実験で用いたティラピアの血中アンモニア濃度を分析したところ、水中アンモニア濃度と飼育日数に関わらず約1.5〜2.5ppmで(NH4+として)、水中アンモニアと血中アンモニア濃度は比例していなかった。ティラピア血液がアンモニアを緩衝する能力が高いためと考えられた。 この実験を通して、ティラピアが行動学的に社会順位の下位の個体に向かって攻撃を繰り返すのが、頻繁に観察された。下位の個体はストレス下に置かれていると考えられ、好中球を分離してその機能を調べたところ、上位個体と比べて著しくその機能が低下していた。攻撃行動とそれによるストレス及び生体防御能の低下はほとんど研究が進んでおらず、今後の展開が望まれる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Endo,et al.: "A new method for collecting neutrophils using swimbladder" Fisheries Science. 63・3. (印刷中) (1997)
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[Publications] 飯田貴次・若林久嗣: "魚類貧食細胞の特性、水生動物の生体防御" 恒星社厚生閣, 18 (1995)