1995 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸性魚類の生活史のパターン化と適切な資源管理・増殖対策の検討
Project/Area Number |
07660254
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
岩槻 幸雄 宮崎大学, 農学部, 助教授 (60213302)
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Keywords | 生態 / 沿岸性魚類 / 増殖 / 資源管理 / フエダイ科 / タカサゴ科 |
Research Abstract |
フエダイ科魚類の調査の中で、調査の念頭においていたハマダイ亜科ハマダイ類の吸水した成熟卵を持つ産卵親魚が見つからず、調査を変更する必要が出た。しかし、タカサゴ類の2種の産卵生態や初期生活史に関する重要な基礎的知見は得ることが出来、学術論文として公表することが出来た。また、日本のフエダイ類全般の分布や生態の概要にについても著書としてまとめることが出来、今年出版の運びとなった。 更にヨコスジフエダイの多くの生物学的基礎的知見が明らかになった。それらを重要知見を列挙すると、生殖巣指数GIは、6〜8月にかけて高くなり、それらは産卵期と判断された。組織学的観察では、7月および8月の個体で産卵直前の吸水卵が、6〜8月の個体で精子がそれぞれ観察された。なお、吸水卵はGIが28以上の個体、精子はGIが10以上の個体でそれぞれ観察され、これらの個体は雌は体長220mm、雄は体長210mm以上でみられた。従って、このサイズが生物学的最小型となり、他のフエダイ類に比べかなり小さい段階で産卵することが判明した。また、耳石の輪紋は年1回8〜9月に形成され、年輪であることが判明した。年輪は16本のものが最大で、このことから16年位の寿命があることが判明した。成魚は、東シナ海に面した熊本県から日本海に面した鳥取県にかけての沿岸、太平洋側では鹿児島県から千葉県にかけての沿岸で漁獲されていたが、瀬戸内海沿岸ではほとんど漁獲されていなかった。なかでも資源量が特に多い海域は九州北西部沿岸であった。これに対し、稚魚は日本海側、太平洋側ともに東北地方沿岸まで出現していたが、山陰・北陸地方沿岸で特に多く、九州北西部沿岸ではあまりみられなかった。ヨコスジフエダイの資源の多い海域は主に九州北西部沿岸と考えられ、この海域で産卵された卵および仔魚は、対馬海流により北へ運ばれて沿岸に着底し、成長しているものと考えられた。物理学的な海域区分を検討するための資料が少しずつ集まってきた。フエダイ類の生活史のパターン化、資源分布範囲、物理的な海域区分との関係がかなり明らかになりつつあると判断される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yokoyama,K.et al.: "Reproductive behavior,eggs and larvae of coesionine,Caesio caerulaucea obserbed in an aquarium" Japan.J.Ichthyol.42. 157-164 (1995)
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[Publications] Yokoyama,K.et al.: "Reproductive behavior,eggs and larvae of caesioninefisly pferocaesio digramma observed in an aquarium" Japan.J.Ichthyol.41. 261-274 (1994)
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[Publications] 岩槻幸雄: "フエダイ科,タカサゴ科,クロサギ科 日本の海水魚" 山と渓谷社, 40 (1996)