1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07660268
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
野田 宏行 三重大学, 生物資源学部, 教授 (70024825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 秀臣 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (40024830)
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Keywords | 紅藻フノリ粘質多糖 / フノラン / 抗腫瘍作用 / 遅延型過敏症 / リンパ球細胞の変化 / 脾臓Tリンパ球サブセット / ヘルパーT細胞 |
Research Abstract |
フノリを精製して得られたフノランはモル比でガラクトース31.1、3.6-アンヒドロ-L-ガラクトース24.2、硫酸39.1が主成分で微量の6-0-メチルガラクトース、2-0-メチル3.6-アンヒドロガラクトース、キシロースおよびウロン酸を含む粘質多糖であり、電気泳動的にも単一成分で平均分子量は0.0500であった。この多糖と酵素分解して得られた二糖はL-ガラクトース-6-硫酸が3.6-アンヒドロ-L-ガラクトース-3-硫酸とα-1.4結合していることを確認した。 精製フノランの各種腹水、固型腫瘍に対する抗腫瘍効果を調べた結果、エールリッヒ腹水腫瘍、エールリッヒとメス-A固型腫瘍の増殖に対して著名な抑制作用を示した。この現象は宿主の免疫系を刺激し、腫瘍排除に至る免疫応答を惹起すると推察した。そこで、フノランをマウスに投与すると、脾臓のリンパ球細胞が形質細胞に転換した。また、マウスの足蹠反応を遅延型反応に適応し、足蹠の厚さを比較すると、有為の遅延型過敏症反応の増強が観察された。 抗腫瘍活性と発現するには、腫瘍拒絶抗原によるヘルパーT細胞の活性化に端を発する。そこで担ガンマウス腹腔内にフノラン(50mg/kg)を投与し、脾臓、胸腺、末梢血管についてマウス・アンティThy1.2抗体、アンティーL_3T_4抗体、アンティ・アシアロGM抗体、アンティLyt_2抗体を用い、フローマイクロフルオロメトリー法で測定した。その結果、マウス脾臓のヘルパーT細胞が有意に増加し、とくに末梢血中T細胞の中でのヘルパーT細胞、傷害性・T細胞とNK細胞が著しく活性化された。したがって、フノランの抗腫瘍効果は、ヘルパーT細胞の活性化、傷害性T細胞とNK細胞の誘導・産生と強く関与することが証明された。
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[Publications] D.L.Ren,J.Z.Wang,H.Noda,H.Amano,S.Ogawa: "The effects of an algal polysaccharide from Gloiopeltis tenax on transplantable tumors and immune activities in mice" Planta Medica. 61. 120-125 (1995)