1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07660274
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
林 征一 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (80041721)
|
Keywords | リポタンパク質 / レセプター / 培養細胞 / 肝細胞 / フローサイトメモリー / 脂質合成 / チロキシン / 蛍光標識 |
Research Abstract |
蛍光物質(N,N-dipentadecylaminostyrylpyridinium iodide)を合成し、これで高密度リポ蛋白質(HDL)を標識した。このHDLを用いてウナギ肝細胞に対する結合実験を、フローサイトメトリーを用いて行った。その結果、肝細胞の細胞膜にはHDLレセプターが存在し、HDLに体する結合定数(Kd)は、約20μgHDL蛋白/mlであることが分かった。また、培養肝細胞に標識HDLを添加し、蛍光顕微鏡による観察を行ったところ細胞膜上にHDLが結合していることが観察された。 ウナギ肝細胞は、HDLを細胞内にレセプターを介したendocytosisにより取り込まれることが分かった。HDLは、哺乳動物の場合、末梢組織からコレステロールを肝臓へ運ぶ役割を持つものとして知られている。肝臓でコレステロールは、分解され胆汁として胆嚢に蓄えられる。ところがウナギの肝細胞にHDLを添加すると、HDLは肝細胞に取り込まれるが肝細胞からコレステロール、リン脂質、トリアシルグリセロールの流出を促進することが分かった。その際、脂質はHDLとして流出するのではなくVLDL様リポ蛋白質として肝臓から分泌されることが分かった。このHDLの機能は、今まで報告されたことのない新しい機能で、魚類のリポ蛋白質代謝の特徴にあげられると思われる。 一方、細胞内の脂質合成を促進させて細胞内脂質含量を増加させ、リポタンパク質の合成・分泌に対する影響を調べた。脂質合成を促進させるために、チロキシン(T4)を利用した。10^<-8>MT4を肝細胞に添加すると、脂質の合成が促進され細胞内の脂質が増加すると同時に、VLDL様リポ蛋白質の合成・分泌が促進された。即ち、肝臓内の脂質が外因性、内因性いづれの理由によって増加しても、VLDL様リポ蛋白質の合成・分泌が促進されることが分かった。
|
Research Products
(1 results)