1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07660274
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
林 征一 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (80041721)
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Keywords | リポ蛋白質 / 初代培養肝細胞 / HDLレセプター / チロキシン / ウナギ / ドコサヘキサエン酸 / フローサイトメトリー / 蛍光標識 |
Research Abstract |
ウナギ、コイ、ニジマス等の魚類血中の脂質量は、ヒトの家族性高コレステロール症や高トリグリセリド症よりも数倍高いことが知られているが、その理由については分かっていない。血清中の脂質の大半はリポ蛋白質として存在しているので魚類のリポ蛋白質の代謝を明かにすることによりこの疑問を解くことができると考え研究を行った。 リポ蛋白質代謝を検討するために、以下の4点について研究を行った。1.肝細胞におけるHDLレセプターについて、合成した蛍光物質で標識したHDLを用いて検討した結果、肝細胞にはHDLレセプターが存在し、そのKdは約20μgHDL/mlであることが分かった。また、HDLを培養肝細胞に添加するとリポ蛋白質合成・分泌が促進されることが分かった。2.魚類の脂質の特徴としてドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸等の高度不飽和脂肪酸が多く含まれている点である。そこでDHAのリポ蛋白質の合成は分泌に及ぼす影響について検討した。ウナギ培養肝細胞においてDHAはリポ蛋白質の合成は促進するが、分泌を阻害すること、また細胞内トリアシルグリセロール、コレステロール合成を促進することが明かになった。3.ウナギのように回遊性の魚類では甲状腺ホルモンと回遊との間に関係があることが知られている。T4によるリポ蛋白質の合成に与える影響を検討した。T4は肝細胞における脂質合成を促進すると同時にリポ蛋白質の合成を促進することが分かった。4.産卵のために海へ下る下りウナギのリポ蛋白質合成並びに血清リポ蛋白質を、未成熟の養殖ウナギと比較した。下りウナギの肝細胞は養殖ウナギの肝細胞よりもリポ蛋白質を活発に合成し、分泌したリポ蛋白質の特徴は脂質の割合が養殖ウナギが分泌したものより高いことであった。血清リポ蛋白質は逆に養殖ウナギのものの方が脂質の割合が高くなっていることが分かった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ndiaye D.,他7名: "Effect of specific binding of high density lipoprotein to eel hepatocytes their secretion of lipoprotein." Cell Struct.Funct.20・5. 301-310 (1995)
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[Publications] Ndiaye D.,他1名: "Effect of docosahexaenoic acid on lipoprotein synthesis and secretion by cultured eel hepatocytes." Cell Struct.Funct.21・5. 307-315 (1995)
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[Publications] Ndiaye D.,他1名: "Lipopr otein secreted by cultured hepatocytes of silver and yellow eel and its comparison with their plasma lipoproteins." Comp.Biochem.Physiol.116B・2. (1997)
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[Publications] Ndiaye D.,他1名: "Stimulative effect of thyroxine on lipogenesis and lipoprotein synthesis by cultured eel hepatocytes." Fisheries Science. 63・2. (1997)