1995 Fiscal Year Annual Research Report
高付加価値型農業の採用に対応した農作業環境改善の有効な進め方
Project/Area Number |
07660305
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Research Institution | The Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
品部 義博 財団法人労働科学研究所, 労働社会生活研究部, 研究部長 (40142070)
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Keywords | 農業経営 / 農業労働 / 農作業改善 |
Research Abstract |
農作業改善の方向は大きく次の8領域に分類される。(1)運搬と移動、(2)ワークステーションの改善、(3)作業方法の改良、機械導入、(4)作業環境の改善・整備、(5)作業編成の改良と組織の活性化、(6)労働時間整備、(7)安全対策、(8)保健支援策である。そして作業環境改善は作目毎にそれぞれ特徴をもって行われている。例えば、イチゴは中腰姿勢の改善、照明の改善を中心に作業方法の変更、労働時間の短縮が並行的に行われている。これは収穫作業だけでなく、選別・調整作業改善がターゲットになっていることを示す。ネギの場合は、騒音対策と保護具の使用に対する改善頻度が高い。これはネギの皮むき機の騒音対策に関連するものである。大根は、重量物対策、機械導入、早期、夜間作業対策に力点が置かれ、同時に中腰姿勢の改善も頻度高く行われている。リンゴの場合は農薬からの防護と保護具の使用が顕著なほか足場の整備が取り上げられている。花卉の場合は農薬からの防護対策が目立つ。ワークステーションの改善、機械導入も旺盛に進められている。 経営における作業環境改善の契機は、作業従事者の健康障害防止策をめぐって取り上げられるケースが多い。また、労働力の高齢化に伴う作業負担の軽減、快適性を求める若年労働力の確保対策、雇用導入と労務管理上の必要、経営内での女性の地位向上なども改善の重要な契機となっていた。 今後の農作業環境改善を推進する上で、負担軽減や快適形成に役立つ作業関連の健康・安全マニュアルや事例集が、作目別、経営形態・規模別に提供されていくことが求められる。
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