1996 Fiscal Year Annual Research Report
汚濁物質の流出機構と自浄作用を組み入れた流域水質水文モデルに関する研究
Project/Area Number |
07660313
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
後藤 章 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (80162139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 正一 宇都宮大学, 農学部, 教授 (70093143)
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Keywords | 水質 / 汚濁物質流出 / 流出モデル / COD / EC / 自浄作用 / タンクモデル / 水質負荷式 |
Research Abstract |
都市化小河川の流量・水質観測から得られたデータに基づいて、次の解析を行った。 (1)晴天時の汚濁負荷流出特性の把握,(2)晴天時を中心とした汚濁負荷収支 (3)降雨時の汚濁負荷流出過程のモデル化。 まず、晴天時の汚濁負荷流出特性については、COD負荷流出の日変動特性が把握された。また、流下方向に沿った負荷量の増減が、下水道未加入地区からの負荷流入、河道の植生・形状などによる付着・堆積特性によく対応していることがわかった。次に、汚濁負荷収支については、COD負荷排出量の15%程度が、晴天時に河道などに付着・堆積されると推定された。 降雨時の汚濁負荷流出過程のモデル化では、流出モデルに負荷流出式を組み入れた新たな水質水文流出モデルを開発した。負荷物質の堆積・流出の生起場として流域面と河道の2つが考えられることから、流出モデルには流域斜面流出と河道流を分離した「河道雨水流タンクモデル」を用い、流域面流出、河道流下のそれぞれに異なる水質負荷式を付け加える構造とした。従来のこのタイプのモデルでは、両者は一括して取り扱われていた。EC負荷量に関するこのモデルの適用結果は、流量、水質(EC)負荷量ともに良好に観測値を再現するものであり、流域面・河道分離型モデルの有効性が確認された。 なお、晴天時における流域面・河道それぞれの汚濁負荷堆積過程を、堆積式によってモデル化することを試みた。しかしながら、これを用いた降雨初期堆積量の推定は、あまり良好なものではなかった。これについては、今後、付着・堆積量の実測に基づく検討が必要である。
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