1996 Fiscal Year Annual Research Report
冷蔵環境下での米の極限的長期貯蔵時の貯蔵性及び食味に関する研究
Project/Area Number |
07660350
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
森嶋 博 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (90011832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 直樹 筑波大学, 農林学系, 教授 (00092213)
冨田 節雄 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (50060041)
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Keywords | 長期間低温籾貯蔵 / コメの貯蔵性 / 発芽率 / 胚の活性度 / 脂肪酸度 / 食味 / コメの総生菌数 / Red Pseudomonas比率 |
Research Abstract |
東京大学付属多摩農場において、1976年から約20年にわたり同一の圃場、栽培条件(裁植間隔・施肥条件)で同一品種(日本晴)の水稲粳米を継続的に栽培して得た籾を、立毛で自然乾燥後、自脱コンバインで収穫し、1区30〜40kgずつダンボール箱または網袋にバラ詰めし、直ちに3〜5℃の冷蔵庫に貯蔵したものを試料とし、コメの貯蔵性が如何なる経年変化をするか、幾つかの視点から実証的に検討した。年度ごとの試料別に外観・水分・発芽率・胚の活性度・脂肪酸度・アミロース・蛋白・食味値を求めた。一方Czapek Agar上で全粒法による糸状菌発生率、Nutrient Agar上での総生菌数とその内で飯塚・伊藤らの言ういわゆるRed Pseudomonasの占める比率を求めた。結果によると白度は玄米で19〜22、貯蔵年数の経過につれ低下する傾向があった。製白米では35〜40、顕著な傾向はない。水分は平衡水分の影響を受け、玄米で16〜18%であり、精米では14〜17%の値を示した。発芽率及び胚の活性度は貯蔵開始時は殆ど100%に近い値を示すが、7年経過頃から急激な低下を見、10年に至りほぼ0%になる。脂肪酸度は貯蔵年数の経過と共に漸増し、貯蔵開始時22mg-KOH/100g-dry grain程度のものが16〜17年貯蔵で26〜27mg-KOH/100g-dry grain、最高で44mg-KOH/100g-dry grain程度となる。初期から低温貯蔵のためか長期貯蔵の割には比較的低い値となった。食味は貯蔵年度の経過と共に低下し、佐竹製作所の食味値で収穫直後65で標準米と同程度の値のものが、10年経過で50前後、17〜8年で40前後の甚だしい不味のレベルに低下する。糸状菌汚染率は収穫時の天候条件等に支配される。総生菌数は収穫直後は玄米1g当たり10^7のオーダーであるが、貯蔵年数の経過と共に漸減し、16〜7年で10^6から10^5のオーダーに下がる。生菌中Red Pseudomonasの占める比率は貯蔵年数の経過と共に増大し、16〜7年経過したコメではこれが優勢種となり40%に達した。
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