1996 Fiscal Year Annual Research Report
反芻動物の下部消化管における栄養素吸収に関する安定同位体元素の応用
Project/Area Number |
07660354
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小田 伸一 岩手大学, 農学部, 助教授 (60211827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 芳也 岩手大学, 農学部, 教授 (50003786)
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Keywords | グルコース / 安定同位体元素(^<13>C) / ヒツジ / 門脈血流量 / インスリン |
Research Abstract |
【目的】平成7年度に引き続き、肝門脈にカテーテルを装着したヒツジを供試し、門脈でのグルコース正味吸収量を求めると同時に安定同位体元素をトレーサー([U-^<13>C]-glucose)として、腸管から吸収される飼料由来のグルコース量を知ることを目的とした。また、反転腸管法によりグルコース吸収量を測定し、これまでの結果と比較検討する。 【方法】供試動物には、頸動脈、頸静脈、門脈および前腸間膜静脈カテーテルを装着したヒツジ3頭を用いた。試験設定は平成7年度と同じとし、測定項目は、門脈および頸動脈血漿PAH、グルコース、インスリンの各濃度および^<13>C]-glucoseのアイソトープエンリッチメントとした。 【結果】結果は前年度のものと併せて5頭の平均値で示した。門脈血流量は、粗飼料区(R)、濃厚飼料区(C)いずれの区においても給餌前より給餌後に有意に増加した(D<0.05)。しかし、両区の間には差が得られなかった。グルコースの門脈血漿濃度は、給餌後にR区で有意に減少したのに対し(P<0.05)、C区では減少は見られなかった。このときのインスリン血漿濃度は、C区の給餌後に平均で21.9μU/mlと増加する傾向が見られた。採食後6時間の門脈へのグルコース正味吸収量は、R区で-1.12に比べC区で0.42mg/min/kg^<0.75>と有意に高い値であった(P<0.05)。一方、飼料由来のグルコース吸収量は、R区;1.34、C区;0.89・mg/min/^<0.75>であり両区の間に有意な差は得られなかった。 以上の結果より、グルコース正味吸収量はR区に比べC区の方が多くなったが、飼料由来のグルコース吸収量は両区の間に差が認められなかった。 また、in vitroについて検討してみたが、ラットに比べヤギでは明瞭な傾向が得られず、実験方法についてさらなる検討を要すると考えられた。
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