1995 Fiscal Year Annual Research Report
暑熱ストレスによる繁殖機能障害-暑熱ストレスの作用点の解明
Project/Area Number |
07660355
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金井 幸雄 筑波大学, 農林学系, 教授 (40015871)
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Keywords | 暑熱ストレス / 繁殖障害 / 卵胞発育 / 卵胞閉鎖 / 性腺刺激ホルモン / LH / FSH |
Research Abstract |
暑熱ストレスによる家畜の繁殖機能障害、とくに性腺機能減退の発症因を解明するため、ヤギをモデル動物として以下の実験を行った。 1.超音波画像診断装置を用いた暑熱ストレス由来の卵胞発育抑制に関する形態学的観察 暑熱ストレスによる性腺機能減退の一般的症状である卵胞発育抑制がどのような経過で発現するのかを知る目的で、暑熱ストレス下と非ストレス下におけるシバヤギの卵胞発育過程を超音波画像診断装置を用いて連続観察した。個々の卵胞の出現から退行に至る過程を解析し、以下の新知見を得た。 (1)性周期における新たな発育卵胞の出現(卵胞の動員過程)は暑熱ストレスによって減少しなかったが、暑熱ストレス下ではこれらの卵胞が中および大卵胞へ成長する割合(卵胞の選抜)が有意に減少した。 (2)動員された卵胞が中卵胞へ発達した時期に一過的に暑熱ストレスを負荷した場合には、その後の卵胞発育過程に及ぼす暑熱ストレス影響は少なく、このことから暑熱ストレスの作用時期は小卵胞期にあることが示唆された。 2.生殖内分泌系に対する暑熱ストレスの作用部位解明 暑熱ストレスに由来する卵胞発育抑制が下垂体からの性腺刺激ホルモン分泌の減少に起因するのか否かを明らかにすることを目的として内分泌学的実験を行い、以下の新知見を得た。 (1)卵巣摘出ヤギに既定量の卵巣ステロイドを投与し、視床下部-下垂体系へのステロイド入力を一定にした状態で下垂体からの性腺刺激ホルモン(LHおよびFSH)の分泌動態を暑熱ストレス下と非ストレス下で比較したところ、下垂体からの性腺刺激ホルモン分泌量はステロイド処理によるネガティブ・フィードバック作用により減少するが、暑熱ストレスそのものはこれらの2種類の性腺刺激ホルモン分泌を全く変化させなかった。 (2)卵巣摘出ヤギの血中に卵胞ホルモンを連続注入し、排卵のためのLHサージを誘起した実験においても、暑熱ストレスは下垂体からの性腺刺激ホルモン分泌を変化させなかった。 以上、本研究の成績から、暑熱ストレスは視床下部-下垂体系からの性腺刺激ホルモン分泌には直接的な影響を及ぼさずに卵巣での卵胞発育を抑制すること、また、暑熱ストレス下ではとくに卵胞動員後の発育過程が抑制され、多く卵胞が小または中卵胞レベルで閉鎖退行することが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] KANAI, Yukioら: "Electrophysiological recording of hypothalamic GnRH pulse generator activity in castrated male goats." J. Reprod. Dev.(家畜繁殖学会誌). 41. 57-62 (1995)
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[Publications] KANAI,Yukioら: "Hypogonadism in heat stressed goats:poor responsiveness of the ovary to the pulsatile LH stimulation induced by hourly injections of a small dose of GnRH." J. Reprod. Dev.(家畜繁殖学会誌). 41. 133-139 (1995)