Research Abstract |
1996年4月〜10月の間,前年に造成したケンタッキーブルーグラス模擬草地を対象に,引き続き4週間および2週間間隔で刈取りを繰り返し,収量,草丈,茎数密度の推移を追跡すると同時に,適宜,個体を堀取り,直立分げるおよび根茎の発達状況を形態観察した。また,実際の草地から得た材料についても生態形態的観察を行い,比較対照した。 越冬期間中,ケンタッキーブルーグラス個体は旺盛に分げつを発生したため,4月の1番草時には茎数密度は30,000茎/m^2に達したが,1番刈後は,分げつ発生は休止し,茎数密度は漸減した。その後,夏期の高温条件下で多数の株が枯死し,茎数密度は急減した。9月以降,気温の低下とともに残存株から分げつが多発し,茎数密度は急増したが,前年の水準には回復せず,越夏中の密度維持の重要性が示唆された。茎数密度と平均1茎重との関係は,ペレニアルライグラスで提起されている最多密度線近辺に収斂したが,30000茎/m^2の高密度で1番草を迎えた4週間刈区では,しばしばこのラインを越える生育を示し,本草の優れた密度維持能力が確認された。 夏期の密度低下によって秋期の収量が低く抑えられたにもかかわらず,年間乾物収量が4週間刈区で2400g/m^2,2週間刈区で1600g/m^2と,著しく高く,頻繁な剪葉条件下でも比較的高い生産力を持つことが認められた。また,1茎当たり生長速度は,季節による変化が比較的少なく,従って,密度が一定に保たれるならば,収量が安定的に推移し,放牧用牧草としての適性が高いことが確認された。なお,利用2年目の過密度条件下にある個体においても前年同様の分げつ発生の規則性が認められた。根茎の発生様式も基本的に同様で,既成の直立分げつ基部からは,常に多くの根茎が生じ,葉身を持たない鱗片葉を形成しながら10〜15節間程度を伸長させて横走の後,規則的に直立分げつ化すること,直立茎化した分げつにおいては,再度,規則的な分げつ発生が繰り返され,密度形勢に有効に機能することを観察した。
|