1996 Fiscal Year Annual Research Report
メン羊後追い放牧によるウシ放牧草地の牧草季節生産性の平準化
Project/Area Number |
07660365
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Research Institution | KITASATO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
杉浦 俊弘 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (30146518)
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Keywords | メン羊放牧 / ウシ放牧 / 後追い放牧 / 牧草の季節生産性 |
Research Abstract |
東北地方の肉牛の飼養形態は,夏山冬里方式が主流であり,これを実現するために山間部に多くの大規模な公共育成牧場が造成された。このような公共育成牧場では,草地をいくつかの牧区に区切り,数十頭単位の牛群で輪換放牧していることが多い。しかしここの放牧頭数は,年や季節によって変動したり,放牧の開始時期が遅くなってしまい,牧草の生産量が採食量よりも多すぎて,牧草が過剰になってしまう。そのためこのような牧場では,ウシの放牧だけでは放牧強度が不十分な放牧地に対して,ウシを放牧した後にメン羊を後追い放牧することによって,スプリングフラッシュによって過剰になる牧草量をコントロールし,牧草の季節生産性を平準化しようとしている。 青森県十和田市における牧草の現存量は,6月中旬から急増し,7月下旬に最大値となった。この間の牧草の生長量は,50kg/ha/dayから100kg/ha/dayへと急増していた。これだけの牧草生産量を採食させるためにはかなりの放牧頭数が必要であるが,公共牧場では畜産農家からの預託牛の減少にともない,放牧頭数が減っている。秋田県森吉町の公共牧場で植生を調査したところ,地形が平坦で管理舎に近い牧区は,よく維持され高密度短草型で雑草の侵入も少なかったが,山頂付近の牛の移動が困難で傾斜がきつい牧区では,裸地が多く雑草の侵入が目立っていた。このような放牧地での牧草管理指標として以下の点を明らかにした。(1)牧草緑部現存量が4,000kg/haになる前にウシの放牧を開始し,少なくとも2,000kg/haまで放牧する。(2)その後メン羊を後追い放牧するが,メン羊はウシよりも部位に対する選択が強いので,茎部を残させないようにする。(3)放牧後の再生牧草種のマメ科を多くするにはウシの放牧強度を,イネ科を多くするにはメン羊の放牧強度を,それぞれ高めてコントロールする。
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