1996 Fiscal Year Annual Research Report
発酵食肉製品パルマハム中の安定な赤色ミオグロビン誘導体の構造決定とその生成要因
Project/Area Number |
07660367
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Research Institution | School of Veterinary Medicine, Azabu University |
Principal Investigator |
永田 致治 麻布大学, 獣医学部, 教授 (30038202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 英利 麻布大学, 獣医学部, 講師 (70257294)
坂田 亮一 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (10153892)
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Keywords | Parma ham / myoglobin derivative / staphylococci / electron spin resonance |
Research Abstract |
パルマハムに含まれる赤色色素を抽出するために、7種類の溶媒の75%溶液をそれぞれ用いた。その結果、75%アセトンが最適であり、その抽出液の吸収スペクトルは波長417、546および584nmに極大吸収を有していた。水を用いた場合は、赤色色素の約10%は抽出されず試料中に残留したが、75%アセトンによりこれを抽出できた。光照射などによる安定性試験の結果、この赤色色素はニトロソミオグロビンと比較し非常に安定であった。Killdayの方法で分離し薄層クロマトグラフィーの結果、この色素はニトロソヘミンより易動度が大であった。また、赤外線(IR)吸収スペクトルによる構造解析の結果、ニトロソヘミンのIR吸収スペクトルに波長1,720cm^<-1>のピークがみられ、これはポルフィリン環の6、7位の側鎖が-COOHであることを示すが、パルマハムの赤色ミオグロビン誘導体のヘムは、6、7位の-COOHが修飾されており、そのために-COOHに由来する特異的IR吸収スペクトルのピークが現われなかったものと考えられる。電子スピン共鳴(ESR)法による構造解析の結果、g値が2付近にESRシグナルがみられなかったことからヘム鉄に一酸化窒素は結合していないことが明らかとされた。以上の結果から、パルマハムに生じた赤色色素は、食肉あるいは食肉製品中に見い出されていない未知のミオグロビン誘導体であることが認められた。また、この色素は、パルマハムの表面に付着し生育しているstaphylococciによって形成されることが示唆された。
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