1995 Fiscal Year Annual Research Report
めん羊骨格筋、脂肪細胞におけるグルコース輸送のインスリンによる制御機構
Project/Area Number |
07660375
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
佐々木 晋一 信州大学, 農学部, 教授 (00003682)
|
Keywords | 反芻動物 / インスリン抵抗性 / グルコース輸送 / GLUT-1およびGLUT-4 / トランスローケーション / インスリンレセプター / 自己リン酸化 / チロシンキナーゼ活性 |
Research Abstract |
生理学的に活性のあるめん羊単離脂肪細胞および骨格筋あるいはそれ等のsubcellular fractionおよび部分精製インスリンレセプターを使用して、レセプター結合解析、グルコースの膜輸送およびグルコース代謝に及ぼすインスリンの生物学的効果を検索した結果、グルコースの膜輸送系にインスリン抵抗性が存在していることが明らかとなった。次にCytochalasin B binding assayによりグルコース輸送担体の細胞内局在に及ぼすインスリン効果を検索した結果、めん羊におけるグルコースの膜輸送系は非反芻動物と同じ特性を有しているが、グルコース輸送担体数が絶対的に少なく、しかも細胞内プールから原形質膜への輸送担体のトランスローケーションに及ぼすインスリン効果も小さいことが判明した。次に、グルコース輸送担体のアイソホームであるGLUT-1(赤血球/脳型)およびGLUT-4(インスリン感受性型:脂肪/筋型)蛋白をウエスタンイムノブロッティング法により検索した結果、GLUT-1ラベルはラットと差がないもののGLUT-4は原形質膜および細胞内プールで著しく低レベルであること、めん羊はラットと同様にGLUT-1ではなくGLUT-4のインスリン誘引トランスローケーション刺激により細胞内へのグルコース輸送を促進していることが明らかとなった。しかし、インスリンによるGLUT-4のトランスローケーション刺激はラットに比し顕著に低下しており、この過程にインスリン抵抗性が存在していることが判明した。このことはインスリン抵抗性がインスリンの細胞内情報伝達機構に存在していることを暗示している。そこでインスリンレセプターの自己リン酸化能およびチロシンキナーゼ活性を測定した結果、めん羊におけるインスリン刺激レセプターβサブユニットの自己リン酸化能および外因性基質に対するリン酸化能はラットに比し著しく低下しており、これがめん羊グルコース代謝におけるインスリン抵抗性の機序であるとの新知見を得た。
|
Research Products
(1 results)