1996 Fiscal Year Annual Research Report
新開発の形質転換系を利用した高繊維分解性ルーメン菌の作出
Project/Area Number |
07660377
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Research Institution | MIE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小林 泰男 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (50153648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 貞夫 三重大学, 生物資源学部, 教授 (90024546)
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Keywords | ルーメン細菌 / 形質転換 / Butyrivibric fibrisolvens / シャトルベクター / キメラプラスミド / セルラーゼ / キシラナーゼ / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本研究はわれわれの開発したベクターに、ルーメン菌由来繊維分解酵素(セルラーゼ・キシラナーゼ)遺伝子を組み込み、ルーメン内優先種Butyrivibrio fibrisolvensへ導入することで、その増幅発現をはかり、繊維分解能の高いルーメン菌を分子育種しようとするものである。前年度はEubacterium ruminantium由来キシラナーゼ遺伝子とRuminococcus albus由来セルラーゼ遺伝子をエレクトロポレーション法でB.fibrisolvensへ導入することに成功した。そこで今年度は得られた組み換え体でのこれら遺伝子の発現解析を実施した。その結果、キシラナーゼ組み換え体では元菌の9-11倍程度のキシラナーゼ活性増加が認められた。一方、セルラーゼ組み換え体では活性増加がみられず、またウエスタン分析でもシグナルがでなかったので、遺伝子は増幅したものの、転写/翻訳がおこらなかったものと推察された。そこでセルラーゼ遺伝子のプロモーター部を他のプロモーター(同組み換え体で機能するマーカー遺伝子のプロモーター)で置換したところ、セルラーゼ活性の倍増、ならびにセルラーゼ抗体との反応シグナルをみとめるに至った。またシグナルペプチドコード部を削除した遺伝子で同様に試みたところ、比活性はより増加した(約3倍)。 計画書記載の繊維性基質への付着能検定等は時間の制約上、実施できなかったが、本研究のメインである異属菌由来酵素遺伝子のB.fibrisolvensでの発現を成功させることができ、しかもプロモーター置換法で理論上いかなる遺伝子も発現させることが可能なことを指摘することができた。また組み換え体内でのキメラプラスミドは非常に安定に保持され、将来、組み換え体のルーメンヘの移植などの応用を考えた時、この性質はきわめて有利と思われる。
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[Publications] 小林 泰男: "Inbibitory effect of the ionophore salinomycin on deamination by mixed rumen bacteria" Asian-Australasian Journal of Animal Science. 9. 45-49 (1996)
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[Publications] 小林 泰男: "A newly isolated Staphylococcus gallinarum from gont rumen and partial characterization of its horbouring plasmids" Animal Science and Technology. 67. 410-414 (1996)