1995 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物初期胚の発生と分化に関与する細胞接着および細胞間情報伝達機構に関する研究
Project/Area Number |
07660378
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南 直治郎 京都大学, 農学部, 助手 (30212236)
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Keywords | mouse embryo / oviduct / E-cadherin / gap junction / protein kinase C |
Research Abstract |
卵管の影響下でマウス1細胞期胚を体外培養すると、胚は体外培養における発生停止を起こすことなく、正常にその後の発生を維持できる。これらの胚においては4細胞期における細胞接着面が卵管の影響を受けずに発生した4細胞期胚に比較して非常に大きくなることがすでに示されており(Minami et al.,1992)、本研究において、この4細胞期胚の細胞接着面にカドヘリン分子の存在が認められ、この時期にすでに局在が開始していることが間接螢光抗体法によって明らかになった。また、卵管の影響を受けずに発生した4細胞期胚については、カドヘリン分子の局在は認められず、細胞表面に点在することが観察された。一般に、カドヘリン分子の細胞接着面への局在は8細胞期におけるコンパクション開始時に起こるとされているが、体外における卵管組織との共培養系においては局在が早期に起こることが観察された。このカドヘリンの局在にはプロテインキナーゼCが関与すると考えられているが、この卵管組織との共培養系においてもなんらかのかたちでプロテインキナーゼCが活性化されたのではないかと考えられるが、卵管の影響とプロテインキナーゼCの活性化についての詳細なメカニズムについては今後の検討課題である。また、同様の卵管の影響下で発生した4細胞期において、細胞間の情報伝達に関与するGap Junctionがすでに形成されていることも観察された。Gap Junctionはコネキシン43タンパク質の6量体からなり、そのタンパク質の合成は4細胞期に開始されるが、機能的なGap Junctionの形成はコンパクション時に始まることが示されている。また、コネキシン43がGap Junctionへと形成される場合にもコネキシン43のリン酸化が関与しているとが示唆されており、初期胚発生過程における卵管の影響とタンパク質のリン酸化についても詳細な検討が必要であると考えられる。発生過程における卵管の効果は、体外における初期胚の発生停止の解除に対しても有効に作用することから、以上のような胚の形態変化にともなう細胞間情報伝達機構の形成と発生に卵管がどのように作用しているかについて今後さらに研究が必要だと考えられる。
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