1996 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物胚の初期発生における細胞質内カルシウムイオンの役割
Project/Area Number |
07660383
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
河野 友宏 東京農業大学, 農学部, 教授 (80153485)
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Keywords | カルシウムイオン / マウス胚 / 細胞周期 / 卵母細胞 |
Research Abstract |
本研究は、哺乳動物初期胚におけるカルシウムイオンの役割を追求するために平成8年度より実施されている。実施2年度の本年は、特に排卵卵子における受精時のカルシウムイオンの変動、および卵母細胞核の存在と受精時のカルシウムイオンの変動との関係について研究を行い、当初の目的を十分に達成した。得られた結果を要約すると、以下の通りである。 1)マウス排卵卵子を体外受精し、受精後のカルシウムイオンの変動を詳細に調べた結果、受精により生じたカルシウムイオンのオッシレーションは、前核が形成される時期、すなわち受精後4-5時間目に消失することが明らかとなった。そこで、排卵卵子のMII染色体を除去して、同様の実験を行ったところ、正常胚と全く同様なカルシウムイオンのオッシレーションが認められた。したがって、MII染色体のカルシウムイオンのオッシレーションへの影響はないものと考えられた。 2)卵の成熟の影響を調べるために、卵核胞期卵を用い、体外受精を行い受精後のカルシウムイオンの変動を調べた結果、カルシウムイオンのオッシレーションは認められなかった。したがって、未成熟卵(卵核胞期卵)では、カニシウムイオンのオッシレーションの発生機構が成立していないことが示された。 3)そこで、卵核胞期卵の核の影響を調べるために、核を除去した卵核胞期卵を成熟培養した後、体外受精を行い、カルシウムイオンを測定した。その結果、核を除去した場合には、カルシウムイオンのオッシレーションの間隔が延びるあるいは不規則になる傾向が認められた。このことから、卵核胞期卵の核は、卵成熟による核の分裂中期への進行により、受精時のカルシウムイオンのオッシレーションに何らかの影響を示しているものと考えられた。
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Research Products
(1 results)