1997 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ卵巣における小卵胞の急速成長相への転移機構
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07660384
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
今井 清 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (90023423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐 藏 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (90115543)
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Keywords | 急速成長相への卵胞転移 / 小卵胞の卵黄球形成 / 卵胞転移の判定指標 / 卵胞転移のホルモン調節 / エストロジェンレセプター / タモキシフェン / アミノグルテチミド |
Research Abstract |
1.卵胞採取日の9時〜10時50分(明開始6時、14時間明)にC_s放卵を行なった産卵鶏を用い、放卵後2、8、14時間で白色小卵胞を湿重量順に10個程度採取した。各卵胞の凍結切片を作成し、酸性ヘマチンテスト(AHT)により卵黄球を染色した。観察の結果、通常の小卵胞では白色卵黄球が不連続の層状に蓄積されていたのに対し、放卵後14時間でのみ卵黄膜直下に黄色卵黄球の形成されている小卵胞が各個体に1個だけ存在していた。この結果から、卵黄膜直下の黄色卵黄球層の存在を確認することは有効な卵胞転移の指標となることを見出した。 2.上と同じ各卵胞の凍結切片に対し、抗ヒト・エストロジェンレセプター(ER)抗体を用いた免疫染色を施し、その隣接切片にはAHTを行なった。その結果、全ての小卵胞でER陽性細胞は卵胞膜外層に局在したが、放卵後14時間で転移が確認された小卵胞と転移しなかったものおよび他の時間の小卵胞の間で、ER陽性反応に関する違いはみられなかった。そこで、産卵鶏にタモキシフェン(TAM、抗エストロジェン剤)を投与し、同様の時間に採取した小卵胞を調べた結果、卵胞膜外層におけるER陽性細胞の反応は著しく強くなっていた。一方、卵胞転移は全例で抑制され、卵黄球の形成も阻害されていた。これらの結果は、正常の卵胞転移時にはER変動が小さいが、TAM投与後の動態からエストロジェンが卵黄球形成を通して卵胞転移に関与していることを示している。 3.上の諸実験と同条件の鶏にアミノグルテチミド(AG.ステロイド産生阻害剤)を放卵後2時間または放卵前2時間に投与し、卵胞転移および血中エストラヂオール(E_2)濃度を調べた。その結果、放卵後2時間のAG投与により卵胞転移率は低下し、無転移鶏のE_2濃度は転移群より低かった。放卵前2時間のAG投与は卵胞転移に影響しなかった。これらの結果は、転移直前期のE_2増加が卵胞転移の誘起に強く関与していることを示すものである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Sonoda: "Egg laying and ovarian follicular growth in Japanese quail under continuous lighting" Japanese Poultry Science. 34・5. 308-317 (1997)
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[Publications] Y.Tanabe: "The relation of estrogen to the foliicular transformation of small follicles in hen's ovary" Proceedings of 6th Asian Pacific Poultry Congress. (in press)(accepted Dec.17.1997). (1998)
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[Publications] J.Murata: "Production and release of eggshell pigment and histological observations of the shell gland in Japanese quail and domestic hens" Proceedings of 6th Asian Pacific Poultry Congress. (in press)(accepted Dec.17.1997). (1998)
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[Publications] S.Ishino: "Effects of ultrasound on sexual maturity in the domestic hen" Proceedings of 6th Asian Pacific Poultry Congress. (in press)(accepted Dec.22.1997). (1998)