1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07660399
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小久江 栄一 東京農工大学, 農学部, 教授 (50014965)
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Keywords | ビタミン / 葉酸 / 四水素葉酸 / 豚 / 二水素葉酸還元酵素 / アフィニティークロマトグラフ |
Research Abstract |
本研究費申請の前年に,我々は豚ではラットなどとは異なり,ビタミン葉酸(ゼロ水素葉酸:以下VF)を経口投与しても,体内の活性葉酸(四水素葉酸:以下AF)が上昇しないことを発見した。本研究テーマはその機序を解明することである。研究開始に当たって我々は,豚ではVFが体内に入っても二水素葉酸還元酵素(DFR)の働きが弱いためAFに変換出来ないのではないかと考え,ラットを対照動物として以下の実験を行った。 実験1.VFの静注試験:経口投与したVFの腸管吸収速度に模して,VFを豚とラットに静注した。[結果]豚では血漿中AF濃度は低下し,ラットでは上昇した。[考察]豚ではVFをAFに変換する酵素の活性が無いか,少なくともラットより低い。 実験2.二水素葉酸(DF)静注試験:VFの代わりにDFを静注した。[結果]豚の血漿中にはラットと同程度にAFが上昇した。[考察]豚の二水素葉酸還元酵素はVFへの親和性は弱いが,DFへの親和性は高い。 実験3.二水素葉酸還元酵素の抽出・精製:アフィニティークロマトグラフ(AC)の手法に従い,豚とラットの肝臓中の二水素葉酸還元酵素(DFR)の抽出・精製を行った。いずれの動物種からも,結晶標準DFRと同じ分子サイズの蛋白を抽出できた。 実験4.酵素活性測定試験:3の実験操作では,ACのリガンドとしてVFを使ったが,収穫蛋白とVFが結合しており,この結合を剥がさないと抽出蛋白の酵素活性が測定できない。現在剥がす作業に手間取っている。 見通し:平成8年度の早い時期に,豚とラットの二水素葉酸還元酵素の,基質親和特異性についての結論が出ると思う。その結果と既に行った実験1.と2.の結論から,論文が書けると考えている。
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