1995 Fiscal Year Annual Research Report
環境温度の変動が家禽の松果体と生殖腺の機能形態に及ぼす影響について
Project/Area Number |
07660401
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大島 浩二 信州大学, 農学部, 助教授 (20111784)
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Keywords | ニワトリ松果体 / 組織化学 / 気温 / セロトニン / ライソゾーム / 酸性ホスファターゼ |
Research Abstract |
1.12L:12Dの明暗光周期下で、室温を25〜30℃に調節して、5週間飼育した雄成鶏の松果体は、先に行った雌成鶏のもの(J. Pineal Res.,6:103〜110,1989)と比較したところ、松果体細胞に存在する酸性ホスファターゼ(AcPase)活性陽性のライソゾーム様暗調小体が著しく少なく、大部分が直径1.0μm以下の小形のものであった。また、セロトニンの抗体を用いた免疫電顕法では、これらの暗調小体の一部、特に内部に脂肪様小滴を含むものに陽性反応がみられ、しばしば、支持細胞に存在する脂肪様小滴を含む暗調小体にもAcPase活性とともにセロトニンの免疫反応がみられた。なお、雄成鶏松果体において、明暗光周期の暗期の方が明期のものより松果体細胞のミトコンドリアやAcPase活性陽性の大形のライソゾーム様暗調小体がやや少なく、セロトニンの免疫反応もやや弱いのに対し、脂肪様小滴は大形になってライソゾーム様暗調小体との合体も稀になり、雌成鶏のものと類似した傾向を示した。 2.同様の光周期下で、室温を5〜10℃に低下させて5週間飼育した雄成鶏の松果体は、上記の室温が25〜30℃のものと比較したところ、セロトニンの免疫反応がやや弱く、松果体細胞のAcPase活性陽性のライソゾーム様暗調小体がさらに減少し、ミトコンドリアが少なく丸くなり、上記の明期と暗期との間の差異も不明瞭になった。 このように、有芯小胞が少ない成鶏松果体では、主に松果体細胞に存在するライソゾームと脂肪様小体がメラトニンの生合成に関与することが明らかになり、さらにそれらの機能に雌雄差が存在し、環境の光条件とともに温度条件にも影響されることが示唆された。しかし、このような低温処理では、精巣の機能形態に影響を及ぼさなかった。
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