1996 Fiscal Year Annual Research Report
マウス肝炎ウイルススパイク蛋白のウイルス得意的リセプターへの結合部位の同定
Project/Area Number |
07660413
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Research Institution | National Institute of Neuroscience, NCNP |
Principal Investigator |
田口 文広 国立精神・神経センター, 神経研究所・モデル動物開発部, 室長 (30107429)
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Keywords | mouse hepatitis virus / coronavirus / spike protein / receptor-binding site |
Research Abstract |
コロナウイルスはヒト、家畜、家禽や実験動物の消化器系、呼吸器系、神経系組織に感染し、様々な病気を引き起こし、特に獣医学領域では大きな問題である。感染防御の観点から、ウイルスとウイルスリセプターの特異的な結合のメカニズムを解明することは極めて重要である。 我々は、マウス肝炎ウイルス(MHV)を用いて、MHVリセプターへの結合に関与するウイルス側の蛋白に関する解析を行ってきた。今までに、ウイルス粒子表面に存在するスパイク(S)蛋白のN末端330個のアミノ酸(S1N330)が、リセプターとの結合に重要であることを明かにした。更に、S1N330の中のN末端から62番目のThrをSerに、212、214,216番目のアミノ酸Thr、Tyr、Tyrを各々Serに置換するとS1N330のリセプター結合能力は消失するか、著しく低下することが明かにされた。このことから、S1N330上のリセプター結合部位は、分子上の異なる部位から構成され、その中で62,212,214,216番目のアミノ酸が重要な働きをいていることが示唆された。今年度は、可溶性リセプターに結合能力の低いウイルス変異株を分離し、そのS蛋白を解析することにより、リセプター結合部位の同定を試みた。その結果、S1N330の65番目のアミノ酸に変異のある蛋白は、リセプター結合能力が著しく低いことが判明した。これらの結果から、S1N330で62から65番目のアミノ酸を含み、殆ど全てのMHV株に保存されているアミノ酸領域が、リセプター結合活性に極めて重要であろうと推測された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ohtsuka,N.,Y.K.Yamada,and F.Taguchi: "Difference in virus-binding activity of two distinct receptor proteins for mouse hepatitis virus" Journal of General Virology. 77. 1683-1692 (1996)
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[Publications] Suzuki,H.,and F.Taguchi: "Analysis of the receptor-binding site of murine coronavirus spike protein" Journal of Virology. 70. 2632-2636 (1996)
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[Publications] Yamada,Y.K.,M.Takimoto,M.Yabe,and F.Taguchi: "Aquired fusion activity of a murine coronavirus MHV-2 variant with mutation in the proteolytic cleavage site and the signal sequence of the S protein" Virology. (in press). (1997)
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[Publications] 田口文広: "マウス肝炎ウイルススパイク蛋白の構造と機能" ウイルス. 46. 109-117 (1996)