1996 Fiscal Year Annual Research Report
マウス卵胞上皮のギャップ結合とアポトーシス細胞死:形態学的研究
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07670001
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
渡辺 皓 山形大学, 医学部, 教授 (80004662)
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Keywords | ギャップ結合 / アポトーシス / マウス卵巣 / 卵胞閉鎖 / ゴナドトロピン / 微細構造 / コネキシン / マクロファージ |
Research Abstract |
1.様々な成熟過程のマウス卵胞にみられるギャップ結合の分布と量的変化を、種々の抗-コネキシン抗体を用い蛍光組織化学的に調べた結果、排卵前の成熟卵胞で最もギャップ結合の量が増大し、排卵直前に減少することを確かめた。ギャップ結合が増大する過程の卵胞上皮を免疫電顕的に観察したが、コネキシンの反応性が微弱で、細胞内局在を同定することができなかった。しかし、凍結割断法によるレプリカ観察の結果、粗面小胞体、ゴルジ小体のいずれの細胞内膜系にも、コネキシンを暗示する膜内粒子の分布密度が低く、このことが免疫電顕的に局在を同定することを困難にしていると考えられる。 2.マウスの卵胞上皮細胞にみられるアポトーシス細胞死の経時変化、特にその初期的形態変化を超薄切片法により調べた結果、生後3週齢から急激にアポトーシスが発現し、1次および2次卵胞に特に高頻度に発現し、卵胞の閉鎖が盛んに行われることを確かめた。 3.閉鎖卵胞では、アポートーシスに陥った上皮細胞を、隣接する正常細胞が活発に貪食することにより退縮が進行することを確かめ、この退縮機構にマクロファージは関与していないことを明らかにした。 4.アポトーシス発現に対する妊馬血清ゴナドトロピンおよびヒト絨毛性ゴナドトロピンの影響を電顕的に調べた結果、自然性周期の卵巣に較べ、明らかに成熟卵胞の数が増大し、過剰に排卵されることが確かめられた。人工受精を目的に、過排卵の操作は日常的になっており、閉鎖が運命づけられた卵胞を人工的に成熟させ排卵、受精へと向かわせることが着床後の胎児の成長にどのような影響を及ぼすかについて、慎重に検討する必要があると考え、今後さらに検討する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 中原,健次: "Incidence of apoptotic bodies in membrana granulosa of the patients participating in an IVF program." J.Fertiliz.Fertil.,. (in press). (1997)
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[Publications] 武井,寛: "Rapid killing of human neutrophils by the potent activator phorbol 12-myristate 13-acetate (PMA) accompanied by changes different from typical apoptosis or necrosis." J.Leukoc.Biol.59. 229-240 (1996)
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[Publications] 仙道,富士郎: "Regulation of neutrophil apoptosis-Its biological significance in inflammation and the immune response-" Human Cell. 9・3. 215-222 (1996)
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[Publications] 武田,裕司: "好中球細胞死の多様性と制御" 炎症. 16・1. 29-36 (1996)
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[Publications] 渡辺,皓: "マウス卵胞閉鎖に伴う卵胞の退縮機構:形態学的考察" 解剖誌. 17・4. 446 (1996)
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[Publications] 井上,聡子: "マウス卵胞の閉鎖に伴う退縮機構" 解剖誌. 71・6. 698 (1996)