1996 Fiscal Year Annual Research Report
顕微解剖により剖出した含水状態での染色体高次構造の解析
Project/Area Number |
07670015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
飯野 晃啓 鳥取大学, 医学部, 教授 (50031969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲賀 すみれ 鳥取大学, 医学部, 助手 (60116358)
舟木 賢治 鳥取大学, 医学部, 助手 (90091579)
名黒 知徳 鳥取大学, 医学部, 助教授 (50032230)
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Keywords | 染色体 / 含水標本 / 高次コイル構造 / 低真空走査電顕 / 反射電子 |
Research Abstract |
染色体を含水状態で観察するために本研究において独自に開発してきた低真空SEMによる高倍観察技術および試料作製法を用いて、チャイニーズハムスター染色体の詳細な観察を行った。骨髄細胞、CHL培養細胞(肺由来線維芽細胞)から剖出し固定した染色体を観察した結果、次のことが明らかとなった。 1.中期染色体のコイル構造 これまでは特殊な染色体(植物の減数分裂期など)または特殊な処理(化学的、物理的)を施し乾燥した染色体でしか電顕的に観察することができなかった中期染色体の高次コイル構造が、固定しただけの含水状態の動物染色体で立体的かつ明瞭に観察された。これは本研究により明らかとなった染色体本来の構造を示唆する結果であり、解剖学会総会(1996年4月)、日本電顕学会学術講演会(1996年5月)、染色体学会(1996年11月)にて発表した。 2.染色体の表面構造と内部構造 本研究に用いている低真空SEM(クリストファー看護大学・田中敬一氏所有)は反射電子を検出して像にするタイプであるため、その特性を利用して含水状態の染色体の表面構造と内部構造を同時に観察することを試みた。すなわち、すでに低真空SEM観察のために開発している白金ブルー染色法は、観察時にSEMの加速電圧を変えることにより、染色体の表面から内部にいたる各レベルでの構造観察を可能にすることがわかり、その方法を用いて染色体の全体像を観察した。この成果は、第53回日本電顕学会学術講演会(1997年5月尼崎)にて発表する予定である。 これまでの本研究により、固定した染色体の含水状態での立体構造観察が可能となり、大変興味ある知見が得られた。今後は、最終目的である固定さえもしない各種の含水染色体標本の観察に向けて研究を進めて行く計画である。
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