Research Abstract |
末梢神経の凍結切片作製後,乾燥,メタノール固定,HAM8抗体反応,蛍光物質標識2次抗体反応,蛍光顕微鏡による観察では末梢神経にはCx32を検出出来なかったが,神経を3%ホルマリンで固定した後,厚さ10〜15μmの凍結切片を作製し,2%Triton-X処理を行ったあとHAM8抗体を反応させ,洗浄後2次抗体であるFITC標識抗マウスIgGを反応させ蛍光顕微鏡下で観察すると,末梢神経で明瞭に陽性領域と陰性領域の区別ができた.しかしそれが神経線維のどこに相当する部分かは同定出来なかった.それで次に切片での観察ではなく、そのままほぐし線維一本一本を遊離させる方法を検討した. 末梢神経を細い針先でほぐすのは比較的容易に行えたが,末梢神経にはミエリン鞘があり,ここをHAM8抗体と2次抗体を如何に侵入させ反応させるかが問題となった.そこで我々は今回の実験で主に以下の条件の工夫を行った.(ア)固定液の種類と濃度,(イ)界面活性剤であるTriton-X処理濃度,及び時間.これらは現在も工夫し最良の条件を調べている.(ア)メタノール,エタノールは50%,75%,100%のもので固定した.ホルマリンは1%,3%,10%(純濃度)で固定した.固定時間は20分,1時間,一晩で行った.トリス緩衝液で十分洗浄した後,(イ)0.25%,0.5%,1%,2%Toriton-Xに10分間,あるいは1時間浸漬処理し,トリス緩衝液で十分洗浄した後,HAM8抗体反応後,洗浄,2次抗体反応,洗浄,検鏡,という,種々の組み合わせで行った.標本を吊り上げ,スライドグラスに乗せ,蛍光顕微鏡で観察すると,3%ホルマリンで固定した末梢神経がよく染色されていた.Toriton-Xの濃度は0.5%,1%,2%では大差がなく,浸漬時間も10分間と1時間で差はなかった.所見は末梢神経のランヴィエ絞輪に比較的限局して強い蛍光が認められた.これを共焦点レーザー顕微鏡を用いて調べたが,予想された層状の陽性反応の同定までには至らなかった.現在も解析中である.
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