1996 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロンの細胞内エネルギーレベル感受性イオンチャネルの役割
Project/Area Number |
07670051
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
少作 隆子 金沢大学, 医学部, 助教授 (60179025)
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Keywords | ニューロン / 海馬 / シナプス伝達 / シナプス前抑制 / 逆行性伝達物質 |
Research Abstract |
1.昨年度は、脳虚血によるシナプス伝達の修飾に、細胞内エネルギーレベルに極めて敏感なKチャネル(ATP感受性Kチャネル)がどの程度係わっているかを調べ、その結果、このチャネルは、虚血後の回復過程には一部関与するが、虚血によるシナプス伝達の低下そのものには関与していないことが明らかとなった。そこで、本年度は、虚血によるシナプス伝達の低下のメカニズムを明らかにする目的で、終末部のイオンチャネルや受容体の種類、およびシナプス前抑制の機構を詳しく調べた。 2.新生仔ラットの培養海馬ニューロンを用いて以下の結果を得た。 (1) イオンチャネルとしては、興奮性シナプスでは、N型およびP/Q型Caチャネル、数種類の電位依存性Kチャネル、抑制性シナプスでは、さらにATP感受性Kチャネルがシナプス前終末部に存在することが明らかとなった。一方、Ca依存性Kチャネルの存在は確認できなかった(Neurosci.Lett.207(1996)195-198)。 (2) シナプス前抑制に関与する受容体としては、興奮性シナプスでは、GABAb受容体、アデノシン受容体、代謝型グルタミン酸受容体、抑制性シナプスでは、GABAb受容体と代謝型グルタミン酸受容体の存在が確認された。 シナプス後ニューロンの強い脱分極は、逆行性伝達物質を介して、そのニューロンへの抑制性入力を抑制することが示された(投稿準備中)。 3.以上より、シナプス前終末部にどのようなイオンチャネルや受容体が存在し、それらの働きによりシナプス伝達がどのように修飾されるのかが、明らかとなった。今後は、脳虚血によるシナプス伝達の低下の際にはどの機構が働くのか、特に、その過程における逆行性伝達物質の役割について検討する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takako Ohno-Shosaku: "Presence of the voltage-gated potassium channels sensitive to charybdotoxin in inhibitory presynaptic terminals of cultured rat hippocampal neurons." Neurosci.Lett.207. 195-198 (1996)
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[Publications] Takako Ohno-Shosaku: "Presence of voltage-gated potassium channels sensitive to charybdotoxin in excitatory and inhibitory presynaptic terminals of cultured rat hippocampal neurons." Jpn.J.Physiol.46(S). S87 (1996)