1997 Fiscal Year Annual Research Report
意識下動物を用いた心臓交感神経活動による心ペースメーカー興奮リズムの神経性制御
Project/Area Number |
07670075
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松川 寛二 広島大学, 医学部, 教授 (90165788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 幹康 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 室長 (70162758)
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Keywords | 心臓交感神経活動 / 心臓興奮リズム / 自律神経性調節 / 随意行動 / 自律神経遮断薬 / 24時間 / 腎臓交感神経活動 |
Research Abstract |
1.平成7-8年度に開発した遠隔計測システムを用いて意識ネコから心臓交感神経活動(CSNA)、心拍数(HR)および動脈血圧(MAP)を長時間連続計測し、心臓ペースメーカー興奮リズムの交感神経性調節を解析した。24時間以上にわたり各変数の毎心拍平均を求め、それらを6秒毎の平均値に圧縮し記録した。同時に動物の随意行動(運動、姿勢変化、摂食/飲水行動、睡眠、排尿/排便および毛づくろい行動)を観察し行動の種類やライミングを手動で計算機に入力した。 2.24時間にわたるCSNA、HRおよびMAPの相互相関を調べたところ、CSNAはHRと有意な正比例関係(相関係数、0.7)を持った。相関々係は必ずしも直接的な因果関係を意味しないので、自律神経伝達遮断薬(交換神経系βブロッカーならびに副交感神経系γブロッカー)を投与し相関々係の変調を調べ因果関係について検討した。その結果、CSNA-HR間の相関々係はβブロッカーにより減弱したがγブロッカーでは影響を受けなかったので、CSNA-HR間の相関々係は心臓交感神経活動と心ペースメーカー興奮リズム間の因果関係を反映すると考えられた。 3.CSNA-HR間のはCSNA-MAPやHR-MAP間の相関関係(0.3-0.4)よりも有意に高いことが判明した。これは交感神経系全体で一様な神経調節が行われるのではなく心臓交感神経活動は心臓ペースメーカー興奮リズムを特異的に調節することを示唆した。更にこの仮説を検討するため、対照として腎臓交感神経活動(RSNA)を記録し心拍数ならびに動脈血圧との相関々係を同様に解析した。その結果、RSNA-HRの相関係数は0.4と低いことが判かった。以上より、心臓交感神経活動は心臓興奮リズムと特異的に高い相関を持つこと、ならびに交感神経系全体で一様な神経調節が行われるのではなく臓器毎に特異的な神経性調節が働くことが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Sadamoto: "Cardiovascular responses during spontaneous overground locomotion in freely-moving decerebrate cats." Journal of Applied Physiology. 83. 1454-1460 (1997)
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[Publications] K.Matsukawa: "Direct observations of sympathetic cholinergic vasodiatation of skeletal muscle small arteries in the cat." Journal of Physiology. 500. 213-225 (1997)
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[Publications] K.Matsukawa: "Activity of aortic nerve afferents in conscious,freely-moving cats." Japanese Journal of Physiology. 47. Suppl:S87 (1997)
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[Publications] T.Sadamoto: "Cardiovascular responses during spotaneous overground locomotion in freely-moving decerebrate cats." Japanese Journal of Physiology. 47. Suppl : S87 (1997)
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[Publications] M.Shirai: "Endogeneous nitric oxide attenuates hypoxic vasoconstriction of small pulmonary arteries and veins in anaesthetized cats." Acta Physiologica Scandinavica. 159. 263-264 (1997)
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[Publications] 松川寛二: "循環機能と神経伝達物質。In:中村重信編「神経伝達物質」第2章。" 中外医学社(印刷中), (1998)