1996 Fiscal Year Annual Research Report
メラトニンを指標とする加齢及び痴呆に伴う生体リズムの変化に関する研究
Project/Area Number |
07670081
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
森田 之大 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80034164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 典雄 共立菊川総合病院, 精神科, 医長 (40224076)
中村 孝文 静岡大学, 電子科学研究科, 助手 (70144061)
大橋 裕 浜松医科大学, 医学部, 助手 (30242762)
内田 勝久 浜松医科大学, 医学部, 助手 (10168693)
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Keywords | メラトニン / 加齢 / 痴呆 / 生体リズム / アルツハイマー病 / 睡眠・活動リズム / ラジオイムノアッセイ / 光療法 |
Research Abstract |
1)対象数の増加と時間経過の観察:痴呆患者16例中リズムの消失していた患者は6例であったが、健常高齢者では23例中リズムの消失していたのは2例だけであった。痴呆患者では統計的に有意にリズムの消失している割合が多い。時間経過によるメラトニンリズムの変化を5例を対象に検討した。痴呆患者のメラトニンリズムは次第に平坦化したが、その速さには脳の萎縮や臨床症状が関連していた。 2)光療法の実施:3,000Luxの高照度光を午前9時から11時まで2時間連日照射し、照射前、1週間後、2週間後にメラトニンを測定した。健常者のメラトニンリズムは高照度の光環境によって、振幅が大きくなった。しかし、重度の痴呆患者では光環境との関連は少なく、脳の器質的変化の影響がより大きい。 3)他の生体リズムとの関連:メラトニン、体温、活動休止リズムを同時に、3ヶ月ごとに3回測定した。痴呆患者では生体リズムの異常の発現時期には差があり、メラトニンリズムが消失していても、他の生体リズムは保たれていることが明らかになった。また、体温リズムは最も遅くまで保たれていることが判明した。 4)アクティグラフによる活動量の測定:睡眠覚醒障害、せん妄、徘徊などの症状のある痴呆患者の活動量をアクティグラフを用いて検討した。活動量の変化は夜間せん妾、徘徊、多動などの臨床症状によく対応しており、活動量を指標として痴呆患者の異常行動は定量化できることが明らかになった。また、在宅の患者ではデイサービスを利用していない週末に夜間せん妄が出現する傾向があったが、これらの症例では、週末の昼間の活動量が減少し、夜間の活動量が増加していた。このことから、デイサービスは同調因子を強化することによって、活動リズムの安定に治療的に関与していることが明らかになった。
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[Publications] Morita Y: "Melatonin Rhythm of Alzheimer Patients." Frontiers of Hormone Research.21. 180-185 (1996)
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[Publications] Uchida,K.: "Daily rhythm of serum melatonin in patients with dementia of the degenerate type." Brain Res.717. 154-159 (1996)
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[Publications] Shimoyama,I.: "Visual evoked potentials to a faint Iight : signal propagation analyzed with peak latency and topographic mapping." Brain Topograpphy. 8. 245-247 (1996)
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[Publications] 森田之大: "時間医学と松果体" 日本ME学会雑誌BME. 10. 22-29 (1996)