1996 Fiscal Year Annual Research Report
慢性脊髄ラットの血圧及び尾血流調節機能の回復と血漿カテコールアミン
Project/Area Number |
07670087
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Research Institution | Institute of Tropical Medicine Nagasaki University |
Principal Investigator |
土屋 勝彦 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教授 (90073006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 逸郎 長崎大学, 医学部, 講師 (50039559)
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Keywords | ノルアドレナリン / アドレナリン / 交感神経 / 尾部血管 / 血圧心拍 / 慢性脊髄ラット / プロプラノロール / イソプロテレノール |
Research Abstract |
慢性脊髄動物の生存確率は血圧及び体温の低下に依存する。本研究は脊髄切断後の血圧及び末梢血流調節の回復過程での交感神経系の関与を検討した。脊髄切断によって交感神経性の血管収縮神経の直接支配から離脱し,血管の中間状態を維持できるので尾部血管の支配機序を研究するのに好都合である。以下本研究で得られた知見を示す。A.脊髄切断前に120mmHg前後あった血圧が脊髄切断後1日以降は80〜100mmHgのレベルを維持した。脊髄切断2週目において心拍及び血圧の回復の傾向が認められた。しかしOsbornらの報告に様に脊髄切断前の値まで回復することはなかった。B.血漿ノルアドレナリンの濃度は脊髄切断によって著明に低下したが脊髄切断後1週目26±22pg/ml(N=6;5.5±0.7days)よりも2週目,89±23pg/ml(N=8,10.9±0.7days)において有意(p<0.05)に高かった。一方、血漿アドレナリン脊髄切断後1週目565±332pg/ml,2週目274±136pg/mlとかなりの濃度が認められた。C.アドレナリンβ-アゴニストのisoproterenol 0.1mg/kg腹腔内投与で心拍数は顕著に増大したが尾部皮膚温の低下すなわち尾部血管の収縮が観察された。D.アドレナリンβ-遮断剤のpropranololの8mg/kgの腹腔内投与によって顕著な心拍数の減少と同時に尾部血管は収縮した。このときわずかな血圧の上昇が観察された。アドレナリンβ-受容器がブロックされたので血中のα-受容器を介するする作用が補償的に強調された考えられる。E.脊髄切断数時間後に心拍数の増加及び体温の上昇が観察された。一般に行われているラットの慢性脊髄ラット作成法(C_7のTh_1の脊椎骨の間で切断)では脊髄神経Th_1が残存し,これが脊髄切断時に作用して心循環系及び体温に対する影響を考えるとき数時間のスパンの及び数週間における回復過程と分離して検討する必要があることが判明した。これらの慢性脊髄ラットの研究からラット尾部血管は神経性の支配のほかに種々の血液中の液性の要因による影響をうけていることが示唆される。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Tekeoka M.: "Sound stimulation-induced vasomotor reflex in the central artery of the rabbits ear." Tohoku Journal Experimental Medicine. 178(2). 101-111 (1996)
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[Publications] Shimazu M.: "A new approach to analysis of human sweating." Experientia. 52(2). 131-135 (1996)
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[Publications] Tsuchiya K.: "Effects of daily repeated restraint stress on body temperature and heart rate." Japanese Journal of Physiology. 46(Sp1.). S214. (1996)
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[Publications] "放射鼓膜計(クイックサーモ)による健常人鼓膜温の検討" 日本生気象学会雑誌. 33(4)(in press). (1996)
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[Publications] Tsuchiya K.: "Effects of β-adrenergic agonist,isoproterenol,on the tail blood vessels in chronic spinal tats." Abstract of XIVth International Congress for tropical medicine and malaria. 405- (1996)
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[Publications] Yang H.: "Corticosterone secretion in response to serotonin and ACTH by perfused adrenal of normal and athymic nude mice." Life Sciences. 56(20). 1727-1739 (1995)
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[Publications] 土屋勝彦: "日々繰り返し拘束刺激のラット体温及び心拍数に及ぼす影響" 日本生気象学会雑誌. 32(3). S(50) (1995)
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[Publications] 土屋勝彦: "日々繰り返し拘束刺激のラット体温及び心拍数に及ぼす影響II" 日本生気象学会雑誌. 33(3). S(35) (1996)
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[Publications] Nagasaka T.& Milton A.S.Ed: "Body Temperature and Metabolism(P161-P163,P157-160,P153-156を分担執筆)" IPEC.Inc, 234 (1995)