1995 Fiscal Year Annual Research Report
細胞電気・分子薬理学的解析による心筋細胞情報伝達系としてのチロシンキナーゼの意義
Project/Area Number |
07670098
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
服部 裕一 北海道大学, 医学部, 助教授 (50156361)
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Keywords | チロシンキナーゼ / 心筋細胞 / カルシウム電流 / アンキオランシン |
Research Abstract |
ウサギ心室筋細胞において、angiotensin II(Ang II)は、膜電位依存性Ca^<2+>電流を増強させたが、その程度はisoproterenolによるβ-受容体刺激に比較してかなり軽度なものであり、さらに細胞によってはその増強効果が認められないものもあった。AngIIによりCa^<2+>電流増強効果が認められたものに対し、チロシンキナーゼ阻害薬であるgenisteinの影響を検討したところ、この薬物によっては、増強効果は殆ど影響を受けなかった。したがって、AngIIによる心筋Ca^<2+>電流増強効果には、チロシンキナーゼ活性化は関与していないものと結論された。しかしながら、isoproterenolでCa^<2+>電流を増強させた後、angIIを与えると増強作用を抑制する現象が見られた。このことは、AngIIが心筋Ca^<2+>電流に対し、相反する二重の制御作用をもっていることを意味する。抑制作用の方は、pertussis toxinを処置したウサギから得た心筋細胞では観察されないことから、G_iを介したものと思われる。来年度の課題としては、増強作用のメカニズムにどのようなGタンパクが関与しているのか、そしてその情報伝達系は何なのかを解明していく予定である。
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