Research Abstract |
血管筋層の内側は主にα_2受容体が、外側にはα_1受容体が分布している(Langer,S.Z.and Shepperson,N.B.,TiPS,3,440,1982)。最近、α_1受容体は更に薬理学的にα_<1A>およびα_<1B>受容体に分けられた(Bylund,D.B.et al.,Pharmacol.Rev.,46,121-136,1944)。われわれはノルエピネフリンを摘出ウサギ大動脈標本の内膜側および外膜側から投与した場合、内膜側から投与した時の方が感受性が高いことを見つけた(Nakanishi,H.et al.,Jpn.J.Pharmacol.,46,Suppl.185P,1988;Nakanishi,H.et al.,Res.Comm.Mol.Pathol.Pharmacol.,90,255-267,1995)。ノルエピネフリンの(1)内膜側投与、(2)外膜側投与および(3)クロロエチルクロニジン(不可逆的α_<1B>遮断薬)処理標本への内膜側投与による収縮反応に対するプラゾシン(α_<1B>遮断薬)のPA_2値はそれぞれ10.18±0.31(N=8)、9.21±0.18(N=5)および8.95±0.09(N=5)であり、WB4101(α_<1A>遮断薬)のPA_2値はそれぞれ9.47±0.17(N=7)、9.83±0.27(N=4)および9.85±0.17(N=6)であった(中西・小野、日薬理誌105,11P,1995;Nakanishi,H.,et al.,Jpn.J.Pharmacol.,67,Suppl.I,178P,1995)。 この結果は、内膜側より投与したノルエピネフリンはα_<1B>受容体により親和性を持ち、外膜側より投与された場合はα_<1A>受容体により親和性を持つことを示す。また、ノルエピネフリンは内皮細胞のα_<1B>受容体に作用して内皮細胞依存性収縮物質を遊離する可能性もでてきた。α_<1a>,α_<1b>およびα_<1C>受容体のフラグメントをサブクローニングしてプローブを作製した。これを用いてウサギ大動脈のin situハイブリダイゼーションを行い、これら受容体サブタイプの分布を検討している。
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