1995 Fiscal Year Annual Research Report
心筋歩調取り電位調節に果たすエンドセリンA,B両受容体の機能分担の分子機序の解明
Project/Area Number |
07670130
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
小野 景義 国立衛生試験所, 生薬部, 主任研究官 (40177259)
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Keywords | Endothelin / Chronotropic effect / pacemaker / heart / SA-node / electrophzsiology / receptor / desensitiyation |
Research Abstract |
本研究では筆者が見出したエンドセリン-1(ET-1)の心搏抑制作用の機序解明を更に進め、対象を洞房結節細胞に移して電気生理学的解明を行った。また、ET_A受容体脱感作に種差を発見し、その分子機序を解析した。 (1)洞房結節細胞に対する作用;単離ウサギ洞房結節細胞に対し、ET-1(1nM-)は用量依存的に最大弛緩電位を有意に過分極させ、pacemaker電位の傾きを著しく減少し、活動電位持続時間を有意に減少させ、結果として自発活動電位のcycle lengthを増大させた。この作用はET_A受容体選択的拮抗剤BQ123(1μM)により遮断された。ホールセル・クランプ法による膜電流解析の結果、ET-1は過分極誘発電流(If)には単独で影響せずisoproterenol存在下でこれを抑制、またL型カルシウム電流を顕著に抑制した。さらにアセチルコリン電流(IK(_<ACh>))を顕著に増大させることが判明した。 (2)ET_A受容体脱感作と種差;ET-1の反復投与(50nM、5分投与、30分回復)によりラット右心房標本はET_A、ET_B両受容体反応共に急速に脱感作し、2度目以降の反応性を失ったが、モルモット心房筋ではET_A受容体選択的拮抗剤BQ123(1μM)に感受性の心拍抑制反応が繰返し惹起され、脱感作に抵抗性であることが判明した。ET-1(10nM)は単離ウサギSA node細胞の自発収縮頻度を単独で繰返し顕著に抑制した。モルモットとウサギの心房筋よりmRNAを得、ヒトET_A受容体の部分アミノ酸配列に選択的なプライマーを合成し、RT-PCR法を用いて相当するET_A受容体の部分アミノ酸配列を決定し既知の種(ヒト、ウシ及びラット)のものと比較した結果、モルモットとウサギのET_A受容体の第2細胞内ループからC末端までのリン酸化可能なアミノ酸残基(Ser,Thr)は、ヒト、ウシ、ラットとの間で完全に保存していた。
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[Publications] Ono,K. et al.: "Desensitization of ET_A endothelin receptor-mediated negative chronotropic response; species difference and receptor amino acid sequences." Jpn. Suppl J. Pharmacol.71. in press (1996)
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[Publications] Koshimizu,T. et al.: "Truncation of the receptor carboxyl terminus impairs membrane signaling but not ligand binding of human ET_B endothelin receptor." Biochem. Biophys. Res. Comm.217. 354-362 (1995)
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[Publications] Ono,K. et al.: "Negative chronotropic effect of endothelin-1 mediated through ET_A receptors in guinea pig atria." Circ. Res.76. 284-292 (1995)