1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07670152
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
川上 潔 自治医科大学, 医学部, 助教授 (10161283)
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Keywords | ホメオボックス遺伝子 / 転写因子 / 網膜の発生 / 初期発生 / 核移行シグナル / Sixファミリー遺伝子 / 抗体染色 / in situ ハイブリダイゼーション |
Research Abstract |
転写因子AREC3の生体機能を解明するアプローチとして、次の諸点を明らかにした。 1 ラットの網膜を出生後の発生段階を追って抗体染色でAREC3の局在を解析した。生後1日では、神経節細胞の核に、4日ではそれに加えて内顆粒層に、7日では内顆粒層の外側の細胞に局在する。生後13日では、神経節細胞での局在は核から細胞質に移行し、外節や内節にも局在する。生後20日以後は核への局在は見られない。 2 ラット脳においては、海馬及び梨状野の細胞核にAREC3タンパク質の局在が、細胞質にmRNAの局在が見られた。 3 マウス胚を発生段階を追って抗体染色で解析したところ、9.5日胚の段階から多くの神経細胞の核に染色がみられ、10.5〜11.5日をピークに染色が最も強くなり、14.5日にかけて染色がなくなってゆく。 4 網膜cDNAライブラリーから、マウスSix2,Six3およびSix5の各cDNAを単離できた。AREC3/Six4に加えて、多くのSixファミリー遺伝子が網膜で発現していることを、In situハイブリダイゼーションにて確認した。また、各遺伝子のホメオドメインとシックスドメインとが特異的DNA結合ドメインとして機能しており、結合特異性は、Six2,Six4およびSix5の間で保存されていることを証明した。 5 AREC3の核移行シグナルを、解析したところ、シックスドメインのC末端部分とホメオドメインとがあれば、核に移行することを明らかにした。 これらの結果から、本因子が神経や網膜の発生・分化に重要な役割を果たしていること、核での転写因子としての機能と、細胞質での別の機能の存在が示唆された。今後、Sixファミリー遺伝子全体の生体機能の解明に向けて、研究を続けたい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kawakami,K.: ""Structure, function and expression of a murine homeobox protein AREC3, a homologue of Drosophila sine oculis gene product,and implication in development."" Nucl.Acids Res.24. 303-310 (1996)
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[Publications] Kawakami,K.: ""Characterization of the core promoter of the Na^+/K^+-ATPase α1 subunit gene : Elements required for transcription by RNA polymerase II and III in vitro."" Eur.J.Biochem.237. 440-446 (1996)
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[Publications] Ikeda,K.: ""Cis-elements involved in differential expression of Na,K-ATPase α2 subunit gene in muscle differentiation."" Biochim.Biophys.Acta.1308. 67-73 (1996)
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[Publications] Kawakami,K.: ""Identification and expression of six family genes in mouse retina"" FEBS Lett.393. 259-263 (1996)
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[Publications] Kobayashi,M.: ""Phosphorylation of ATF-1 enhances its DNA binding and transcription of the Na,K-ATPase α1 subunit gene promoter."" Nucl.Acids Res.25. 877-882 (1997)