1995 Fiscal Year Annual Research Report
循環器調節因子としてのPACAPの病態生理的意義解明に関する研究
Project/Area Number |
07670188
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
宮田 篤郎 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 室長 (60183969)
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Keywords | 循環調節 / PACAP / VIP / 心臓 / 血管 / レセプター / RIA / PCR |
Research Abstract |
申請者は新規の向下垂体ホルモンとしてのPACAP(pituitary adenylate cyclase activating polypeptide)が、心臓をはじめとする循環器系にも直接作用することに着目し、PACAPが循環調節因子として高血圧、心筋梗塞等の循環器疾患の病態生理にどのように関連するのかを解明することを本研究の目的として、平成7年度において以下の研究実績を挙げた。 分泌動態に関する検討においてまず、7年度に確立したPACAP特異的RIAが、中点5fmol/tubeと高感度であり、Sep Pak抽出することにより、血中PACAP濃度を十分測定できることが明らかとなった。それによれば、血中PACAP濃度は、ラットで、約30fmol/ml、正常ヒトで、10-15fmol/mlであった。現在病態モデルを用いてPACAPの分泌動態を検討中である。 心血管系におけるPACAPの生合成の有無を明らかにする目的で、PACAPcDNA特異的プライマーを合成しRT-PCRを行った。また、心血管系において発現するPACAPレセプターの性状解析においては、まず既知のPACAP関連レセプター間で保存されている領域をもとに混合プライマーを合成し、RT-PCRを行い、増幅されたバンドをサブクローニングし塩基配列解析を行った。 その結果、PACAPmRNAは、心臓、大動脈、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞のいずれにおいても発現していた。心臓及び大動脈において3種のPACAP関連レセプター遺伝子(PACAPレセプター,VIPレセプターtype1及び2)はすべて発現していた。血管平滑筋細胞においては、VIPレセプターtype2のみの発現を認めた。VIP遺伝子が血管内皮細胞のみで発現していることに対し、PACAP遺伝子が内皮細胞のみならず平滑筋細胞においても発現していることから、PACAPは、血管系において、パラクリン・オートクリンとして、より重要な生理的役割を有することが示唆された。
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[Publications] Inoue H.,et al.: "Structure and expression of the human prostaglandin endoperoxide synthase 2 gene." Advances in Prostaglandin, Thromboxane, and Leukotriene Research. 23. 109-111 (1995)
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[Publications] Hara S., et al.: "Molecular cloning and expression of prostacyclin synthase from endothelial cells." Advances on Prostaglandin, Thromboxane, and Leukotriene Research. 23. 121-123 (1995)
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[Publications] Tanabe T., et al.: "Human genes for prostaglandin endoperoxide synthase-2, thromboxane synthase and prostacyclin synthase." Advances in Prostaglandin, Thromboxane, and Leukotriene Research. 23. 133-135 (1995)
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[Publications] Arita A., et al.: "Human α-tocopherol transfer protein: cDNA cloning, expression and chromosomal localization." Biochem. J.306. 437-443 (1995)