1996 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド源性の免疫グロブリンL鎖の構造決定と分子病理診断への応用
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07670200
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Research Institution | HAMAMATSU UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
三浦 克敏 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 助教授 (20173974)
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Keywords | アミロイド / 免疫グロブリン / ポリニュロパチー / 炎症 / ヒトパピローマウイルス / PCR / インサイツハイブリダイゼーション / 扁桃 |
Research Abstract |
アミロイド沈着臓器から水抽出によりアミロイド線維の抽出をおこなった。さらに7M尿素を加えた試料緩衝液に溶かしたのち、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけてペプチドを分離した。主たるペプチドのバンドを含むようにゲルを切りだし、PVDF膜上にトランスファーし、これを自動エドマン分解にかけてアミロイド蛋白のアミノ末端の配列決定をおこなった。結節性の肺アミロイド症ではλのIII型の一次性アミロイド症であることが確認された。扁桃に限局したアミロイド症も一次性アミロイドであることが判明した。 ポリニュロパチー症状を示す一例は免疫染色と遺伝子診断から30番目のバリンがロイシンに変異した異型トランスサイレチンがアミロイドとして沈着した家族性アミロイド症であることが判明した。 炎症に伴って誘導されるSAAを代表とする急性期蛋白がサイトカインの誘導によって、肝で合成され、炎症部位に達して組織障害や抗炎症に働き、炎症を鎮静化する。このシステムの概説を病理学大系にまとめた。 子宮頸部や頭頸部において外来性のウイルスであるヒトパピローマウイルス(HPV)が腫瘍形成に関与しているかを調べる目的で、腫瘍からDNAを抽出してPCR法によってHPVゲノムの検出を試み、さらにインサイツハイブリダイゼーション(ISH)によって腫瘍部にHPVゲノムが局在することを確かめた。 子宮頸部病変では扁平上皮癌部の90%に悪性型HPVゲノムが検出されたが、頭頸部では食道癌と扁桃癌にHPV52bと16型が認められたのみであった。 中耳に発生した稀な腫瘍である乳頭腺癌の症例報告を文献的考察と鑑別診断を合わせておこなった。 耳下腺浅葉に転移した皮脂腺癌の症例、13年間再発を繰り返す小唾液腺由来の硝子化明細胞癌の症例、硬化型骨肉腫の症例、甲状腺への血行性転移をきたした声門下癌の症例、側頭骨疣状癌の症例をそれぞれ報告した。
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[Publications] 清水秀昭: "異型トランスサイレチン(Val^<30>→Leu)沈着による家族性アミロイドボリニュロパチーの剖検例" BRAIN and NERVE(脳神経). 48・2. 175-178 (1996)
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[Publications] 三浦克敏: "内リンパ嚢原発が疑われるlow-grade papillary adenocarcnomaの1例-文献的考察" 病理と臨床. 14・2. 251-258 (1996)
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[Publications] 三浦克敏: "頭頚部病変におけるパラフィン切片からのHPVゲノムの検出と型の決定" 日本病理学会会誌. 85・1. 170- (1996)
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[Publications] 原田英一: "子宮頚部病変におけるIn situ hybridizationを用いたHPVの検出" 日本臨床細胞学会雑誌. 34・2. 243- (1995)
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[Publications] 三浦克敏: "13年間再発を繰り返す小唾液腺由来のHyalinizing clear cell carcinoma" 病院病理. 13・2. 140- (1996)
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[Publications] 三浦克敏: "耳下腺浅葉に転移したアイボ-ム腺由来の皮脂腺癌の1例" 病院病理. 14・1. 54- (1996)
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[Publications] 三浦克敏: "現代病理学大系5,炎症と感染,急性期蛋白" 中山書店, 428 (1995)