1995 Fiscal Year Annual Research Report
潰瘍性大腸炎の異型化およびがん化に関する遺伝子解析
Project/Area Number |
07670203
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤森 孝博 神戸大学, 医学部, 助教授 (30095385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 盛 神戸大学, 医学部, 教授 (50030911)
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Keywords | 潰瘍性大腸癌 / 異型化 / 癌化 / 異型度診断 / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
潰瘍性大腸炎に合併する癌の早期診断は形態学的に解析だけでは難しい。また潰瘍性大腸炎の長期経過例にみられる異形成を炎症に伴う異型と区別することも形態診断では難渋することが多い。今回、潰瘍性大腸炎の長期経過例からえられた異形成や癌を合併した手術標本を対象に種々の遺伝子について検討してみた。結果、臨床的には潰瘍性大腸炎に伴う異形成や癌病巣は多発性で表面型を呈し、深部浸潤を伴うことが多いことが分かった。また、形態的に通常の腺腫でみられる異型度診断が適当な場合とそうでない場合があることも明らかになった。即ち、癌に伴うuc-11の異形成は形態的に腺腫構造を採らず再生上皮や基底細胞増殖の形をとり非癌合併のuc-11との識別が難しく、この異型診断に腺腫の異型度診断が当てはまらないことである。ところが、癌抑制遺伝子p53の免疫染色の結果では両者で明らかに異なる所見が得られた。癌合併uc-11では瀰慢性の過剰反応がみられたが非合併例では前例陰性であった。このことから症例によってはこれらの免疫染色が形態診断に応用可能であると考えられた。さらに、ras, DOC, APG遺伝子についても検討し、潰瘍性大腸炎に伴う癌化例では、ras遺伝子の関与が少なく、DOC遺伝子codon201Glyの多型性の占める割合が多いことが分かった。この結果は、spor adicな表面型癌と傾向が似ていた。さらにAPG遺伝子の異常についても検索予定であり、ラットモデルも順調に準備されつつある。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Nagasako K, Fujimori T, et al: "Colonoscopic diagnasis of dysplasia and early cancer in longstanding colitis" J. Gastro enferology. 30. 36-39 (1995)
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[Publications] 二見佐智子,藤森孝博 他: "大腸ポリ-プ" 医学と薬学. 34 (4). 660-668 (1995)
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[Publications] Mitooka H, Fujimori T, et al: "Minute flat depressed neoplastic lesions of the colon detected by contrast chromossopy using an indigo carmine capsale" Gastrointestinal endoscopy. 41. 453-459 (1995)
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[Publications] 宮崎潤子,藤森孝博 他: "早期大腸癌の臨床と分子病理学" 医学のあゆみ. 173 (6). 528-532 (1995)
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[Publications] Ajiki T, Fujimoro T, et: "K-ras gene mutation related to histological atypics in human coloredal adenomas" Biochemic & Histochemistry. 70. 90-94 (1995)
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[Publications] Fujimori T, et: "Non-imolvement of ras mutations in flat colosectal adenomas and calcinomes." Int J Cancer. 57. 51-55 (1994)
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[Publications] 坂根正芳,藤森孝博: "早期胃癌内視鏡ハンドブック" 中外医学社, 205 (1995)
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[Publications] 中村哲也,藤森孝博: "先進的内視鏡治療手技" 日本メディカルセンター, 171 (1995)