1995 Fiscal Year Annual Research Report
悪性リンパ腫における接着因子シアリル・ルイスX発現の研究
Project/Area Number |
07670206
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松下 能文 鹿児島大学, 医学部, 助手 (90244227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
魚住 公治 鹿児島大学, 医学部, 助手 (90253864)
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Keywords | 悪性リンパ腫 / シアリル・ルイスX抗原 / フコシルトランスフェラーゼ / 大腸癌 |
Research Abstract |
平成7年度 1 ミシガン大学のDr.J.B.Loweより大腸癌や成人型T細胞性白血病細胞に発現するシアリル・ルイスX抗原を合成する4種類の糖転移酵素のフコシルトランスフェラーゼIII,IV,V,VIのcDNAの供与を受けてin situ hybridization用のプローブを調整した。この間新たにフコシルトランスフェラーゼVIIがDr,Loweを含む幾つかのグループより報告され,この酵素のcDNAも同様にして入手したが,このため新たに調整期間が必要となった。 2 我々の有する病理診断ファイルから大腸癌と成人型T細胞性白血病に共に罹患した症例を探し代表切片を選び,上記フコシルトランスフェラーゼのin situ hybridizationを実施した。また成人型T細胞性白血病症例で,白血病細胞浸潤の異なる部位を選び,同様の染色を行った。更に,同一切片を,シアリル・ルイスX抗原に対するモノクローナル抗体で染色し抗原発現を確認した。 シアリル・ルイスX抗原の発現は,検索したいずれの症例でも程度の差はあるが確認できた。成人型T細胞性白血病細胞に発現するシアリル・ルイスX抗原は,リンパ節内よりも,血管内や浸潤巣で増加する傾向が見られた。in situ hybridizationでは,フコシルトランスフェラーゼIIIとIVの発現が主として確認された。しかしながら,これまでの報告では,大腸癌に発現するシアリル・ルイスX抗原はフコシルトランスフェラーゼIIIにより合成され,成人型T細胞性白血病細胞に発現するシアリル・ルイスX抗原は,VII型酵素により合成されると考えられてきたが,今回の検索では幾つかの病変で,この二つの酵素の同時発現が認められた。次年度は症例を増やし,抗原発現機構の解明並びに,抗原発現と臨床像の変化との関連を検討する。
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