1995 Fiscal Year Annual Research Report
Wilms腫瘍におけるWT1遺伝子微小変異の腫瘍発生への機能
Project/Area Number |
07670222
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
菊池 春人 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10161423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤坂 喜清 東邦大学, 医学部, 講師 (60202511)
秦 順一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051614)
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Keywords | Wilms腫瘍 / WT1遺伝子 / Denys-Drash症候群 |
Research Abstract |
Wilms腫瘍関連遺伝子WT1の腫瘍発生における機能について明確にするために,関連疾患であるDenys-Drash症候群患者における遺伝子解析およびWT1遺伝子変異を伴う腫瘍細胞株を樹立してその遺伝子異常の意義について解析を行った。 1.Denys-Drash症候群についての解析 新たに3例の解析を行った。最近Wilms腫瘍を発症した1例はWT1 exon8にpoint mutationを認め,これによってDenys-Drash症候群の診断が確定した。また,今回解析した症例を含め,計8例の患者のうち5例にintron9のsplicing donor siteにpoint mutationを認めた。これらの変異様式はこれまで報告がないものでありsplicingに異常をきたすことが示された。また,intron変異を伴う症例では病態が通常のDenys-Drash症候群と異なる共通性がみられた。このことからintron異常が新たな病態群の指標となることが示された。さらにexon9のsplicingの腫瘍発生・器官形成における意義を具体的に示す所見として非常に興味深い。 2.WT1遺伝子異常を伴ったWilms腫瘍細胞株についての解析 電子顕微鏡観察・免疫組織化学的検討によって,この細胞は腎の上皮細胞としての性格を持っていることが示された。また,この腫瘍での遺伝子変異(WT1 exon10の43bp重複)の意義を検索するために,腫瘍からRNAおよび蛋白を抽出し,RT-PCRならびにWestern blotによる解析を行った結果,本腫瘍細胞ではWT1 mRNAは発現するもののWT1蛋白は検出されなかった。このことから変異によってstop codonがshiftし,不安定なWT1蛋白が産生されることが示唆された。現在これらの異常を伴うWT1遺伝子についてcloningを行い,発現vectorを作成している。
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