1996 Fiscal Year Annual Research Report
多機能リボ核タンパク質SP120に対する自己抗体の探索と機能解析への応用
Project/Area Number |
07670247
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
筒井 研 岡山大学, 医学部, 助教授 (70108158)
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Keywords | リボ核タンパク質 / hnRNP / 核骨格 / 核マトリックス / SAR / MAR / RNAプロセシング |
Research Abstract |
1.hnRNPタンパク質に対する自己抗体のスクリーニング 抗核抗体が陽性の患者血清(136例)をイムノブロット法によりスクリーニングした結果,7例がSP120,6例がhnRNPの新たな構成成分と思われる150kDのタンパク質(p150),4例が核骨格タンパク質matrin3と反応する自己抗体を含んでいた.しかし,1例の抗p150血清以外に高力価の血清は無く,機能解析に応用できる抗体は未だ得られていない.また,これら自己抗体の存在と疾患の種類との相関は特に認められていない. 2.マウスにおける加齢と抗SP120抗体の関連 月齢が異なる3群(それぞれ30-40匹)のC57BL/6マウス個体から採取した血清の,SP120に対する抗体価をイムノブロット法で測定した.1月齢ではほとんどの個体が抗体陰性で,陽性のものでも抗体レベルは低かった.29月齢になるとすべて陽性となり,60%以上が高い抗体価をもっていた.17月齢のグループはこれらの中間的な値を示した.この実験から,加齢に伴いSP120に対する自己抗体が産生されることが明確になった. 3.抗SAR抗体 マウスIg_K遺伝子のSARに加え,新たに2種類のSAR(出芽酵母のCEN3,ショウジョウバエのFtz遺伝子由来)をプローブとして患者血清のSAR結合能を測定したところ,すべてのSARについて患者血清は健常人血清に比べて有意に高いSAR結合能を示した(P<0.001).相関分析を行うと,SAR相互間に高い相関が認められたが,SAR結合能と1本鎖および2本鎖DNA抗体価,総IgG量との間の相関は低かった.患者血清から精製したIgG画分はすべてのSARを強く結合した.また,FtzSARを固定化したセファロースは患者血清中のIgGの一部を特異的に結合した.これらの結果から,1)抗核抗体にはSARに共通したDNA高次構造を認識するIgG抗体が含まれ,2)抗SAR抗体は今までに知られている抗DNA抗体とは異なる分子種であると結論した.
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[Publications] Okada,S.: "Subdomain structure of the matrix attachment region located within the mouse immunoglobulin kappa gene intron" Biochem.Biophys.Res.Commun.222・2. 472-477 (1996)
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[Publications] 筒井研: "核マトリックス" Surgery Frontier. 3・2. 175-178 (1996)