1996 Fiscal Year Annual Research Report
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07670250
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
泉 啓介 徳島大学, 医学部, 教授 (30116777)
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Keywords | LECラット / 自然発生腎腫瘍 / 銅 / Tso2遺伝子 / 酸化的DNA損傷 / ヘテロ接合性の消失 / VHL遺伝子 |
Research Abstract |
1)腎癌発生における銅,鉄の役割:経時的にLECラットとF344ラット腎の銅,鉄含有量を原子吸光法で測定した結果,LECラットでは銅含有量が黄疸期以降常に高値を示すのに対して,鉄含有量は“慢性肝炎"期以降F344ラットの方が高値を示したこと,LECラット腎尿細管上皮にはkaryomegaly,dysplastic thbuleが見られ,これらは銅のキレート剤であるD-ペニシラミンの長期投与で抑制されたことから腎の銅含有量が腎癌の発生に重要な役割を果たすことがわかった。さらにTimm法による銅染色の結果,銅の蓄積部位は近位尿細管であり,顕微鏡的腺腫の発生部位と一致した。ヒト腎癌発生における重金属の役割についても検討する必要がある。 2)腎腫瘍の組織発生と前がん性病変:尿細管上皮の増殖活性を,BrDUで1週間ラベル-抗BrdU染色で検討した結果,dysplastic thbuleが前がん性病変としての意義を有することがわかった。 3)腎癌発生に関与する遺伝子とloss of heterozygosity(LOH):自然発生および化学発がん剤誘発LECラット腎細胞癌におけるTsc2遺伝子とVHL遺伝子の変異の有無をPCR-SSCP法で検索した。今回検索したいずれの腫瘍においてもVHL遺伝子の変異は見られなかった。一方,DENやEHENで誘発したLECおよびF344ラット腎細胞癌でTsc2遺伝子に変異が見られ,Ekerラットのみならず他の系のラットの腎癌発生におけるこの遺伝子の関与が明らかになった。(F344xLEC)F1ラットを用いた実験で低頻度ではあるが第10染色体のLOHが見られた。他の領域のLOHの検索は進行中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Muramatsu,Y.: "The rat homologue of the Wilson's disease gene was partially deleted at the 3' end of its protein-coding region in Long-Evans Cinnamon rats." Res.Comm.Mol.Pathol.Pharmacol.89. 421-424 (1995)
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[Publications] Chai,J.: "Development of functional rat-derived T cells in SCID mice engrafted with the fetal thymus of LEC rats which are defective in CD4+T cells." Microbiol.Immunol.40. 659-664 (1996)