1995 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫伝搬阻止単クローン抗体の標的蛋白の発現様式と伝搬阻止機構の解析
Project/Area Number |
07670279
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
鳥居 本美 愛媛大学, 医学部, 教授 (20164072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 敬文 愛媛大学, 医学部, 助手 (00188616)
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Keywords | マラリア / オ-キネート / オーシスト / 単クローン抗体 / 伝搬阻止 / 免疫電子顕微鏡 |
Research Abstract |
マラリア原虫の伝搬阻止に関与する標的蛋白のうち,融合体とオ-キネートの表面に特異的なものとしてPlasmodium falciparum,P.galinaceumでは分子量25kD,P.bergheiでは21kDの蛋白が報告されている。我々はネズミマラリア(P.yoelii)を用いて融合体・オ-キネートに対する単クローン抗体を作成し,分子量22kD(Pys22)または28kD(Pys28)の蛋白を認識する2種の抗体を作成した。共焦点レーザー顕微鏡および免疫電子顕微鏡による観察の結果,これらの抗体の標的蛋白は融合体およびオ-キネートの虫体表面に存在することが明らかになった。標的蛋白の発現を経時的に観察すると,Pys28は吸血後1〜2時間で,Pys22は2〜4時間で虫体表面へ発現していた。受動免疫したマウスと蚊の系を用いて単クローン抗体による伝搬阻止作用をみると,抗Pys28抗体,抗Pys22抗体ともに量反応関係が認められ,最終的には前者が100%,後者が95%のオーシスト形成阻害を示した。マウスを2種の抗体で受動免疫すると相加的なオーシスト形成阻害がみられた。C5欠損DBA/2マウスと抗Pys28抗体のFab分画を用いた実験においても90%以上のオーシスト形成阻害が認められ,伝搬阻止には補体系の関与がないことが示唆された。抗Pys28抗体を用いた蛍光抗体法とWestern blotting法によって,分子量28kDの蛋白がP.bergheiの融合体およびオ-キネートの表面にも発現することが判明した。また,抗Pys28抗体はP.bergheiのオーシスト形成を阻害することが明らかになった。以上の結果より,既知の21〜25kDの蛋白の他にマラリアの伝搬阻止に関与する28kDの蛋白が存在することを初めて明らかにすることができた。
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